認知症の基礎知識
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老化と認知症の違いとは

認知症は体験が丸ごと記憶から抜け落ち、日常生活に支障を来します

年を取るとともに、「よく知っている人なのに名前が出てこない」「ついさっきまでやろうとしていたことを忘れてしまった」ということが増えるようになります。人間は誰でも、歳をとると体力が落ちていきますが、それと同じように知的能力も、40歳から50歳あたりをピークに徐々に下降線をたどります。
そのため加齢によるもの忘れや、ついうっかりは、ごく自然なことです。一方で認知症は脳の機能の病的な障害によって起こる症状。自然な老化現象とは、はっきりと違うものです。

自然な老化と認知症による症状はどう違うのでしょうか。
認知症の症状としてよく現れる「もの忘れ」で比較してみましょう。
たとえば私たちは昼食のおかずを思い出せなかったとしても、昼食を食べたこと自体を忘れることはありません。しかし、認知症の場合は「食べた」という体験自体がまるごと記憶から抜け落ちてしまいます。初期のうちはそうしたもの忘れを自覚して不安になる人もいますが、症状が進むにつれて、忘れたことに対する自覚がなくなり、「まだ食べていない」「食べさせてくれない」などと言い張るようになるのも特徴です。

こうした認知症の症状は、日常生活にも支障を来します。「日常生活に影響があるかどうか」も見分けるポイントなのです。思い当たる症状がある人は、早めに受診しましょう。

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