体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2015年7月号(420号)

ー お便り紹介 ー

気がつけば自分の番に愛知県・Aさん 70歳代 女

平成12年5月に86歳で実母が逝って早や15年。 気がつけば今度は自分の番に…。
姉と二人での介護だったので、責任のない私はとにかく母が喜んでくれることを選び、時折、家に連れて来ては看ていました。
要介護5、寝たきりで7年間。脳梗塞、認知症と大変な時期もありましたが、最後の別れは二人の目前で、あっという問でした。
介護中はぶつかり合ったしっかり者の姉は、1年程前にアルツハイマー型認知症と診断されたので心配なところです。姉は79歳、母が脳梗塞で倒れた年です。
介護を通じ色々な友達も出来て、社会勉強をさせてもらいました。「家族の会」に助けていただき母を無事に介護させてもらい、只々感謝です。
子供の居ない私は今、パソコン教室、体操などして、残された人生を大切に過ごしています。

悲しい現実に悔しさが…大阪府・Bさん 50歳代 女

昨年入会したばかりでしたが、残念なことに認知症の父が87歳で昨年秋に亡くなりました。母が急に入院して、突然の独居になっても頑張っていました。
2年が経ち、もう限界になってきた時、お試しのつもりで入居してもらったサービス付き高齢者向け住宅で、1週間後に部屋に備え置きの台所用洗剤を誤飲して重い肺炎になりました。
約3ヵ月の闘病の末、力尽きました。しかし、父はもし認知症でなければ助かって回復していたかもしれません。
病院は、認知症の人の治療には消極的です。父は病気になっている事が理解できなかったし、治療にも協力的ではありませんでした。
中途半端に助かっても仕方ないのだろうという感じがしました。すごく悲しい現実でした。認知症の人は治る権利もないという感じでした。悔しいです。

父に感謝三重県・Dさん 60歳代 女

3月16日、91歳の父が永眠しました。今さら何をどう考えても仕方なく、ああすれば良かった、こうすれば良かったと後悔しきりです。
最後1年半の施設での生活は、皆さんに良くして頂いて、親子ケンカすることなく過ごすことが出来ました。
プリンを1個差し入れすると、「うまい、うまい」と90年分の「うまい」を1年半で言い納めていたようです。娘の私を満足させてくれていたようです。
最後、飲食できず、体力もなく静かに息を引き取りました。「家族の会」に支えられ、つどいに参加させて頂き、今までやってこれました。

地方にも初期集中支援チームを広島県・Eさん 70歳代 男

世界的に認知症への関心が高まる中、国も国家戦略として新たな「新オレンジプラン」が策定された現状をとらえ、介護保険制度、単身高齢者、高齢夫婦世帯対策等、『新認知症時代』対応を本部が重点方針に据えられていることは評価する。
しかし、私達が相談活動の中で、認知症の早期診断を勧める一方、悩める初期段階の介護者に適切な初期集中支援チームを自信を持って紹介することが出来ない。
地方に整備されていないことを大変もどかしく感じている。「新オレンジプラン」の目玉でもあるこれらに対応するチームを本気で整備することを強く訴えてほしい。
住み慣れた場所、我が家で安心して暮らせる環境作りと、必要な時にタイムリーに介護家族を助けてほしい。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。