体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2016年9月号(434号)

ー お便り紹介 ー

介護保険をこれ以上後退させてはいけない滋賀県・Cさん 80歳代 男

介護保険は2000年4月にできました。私は妻が1994年に若年性アルツハイマー型認知症と診断され、「呆け老人と家族の会」と介護保険で救われた体験をしていますので、この介護保険をこれ以上後退させないで下さい。保険料の上昇はやむを得ないと思いますが、介護保険の内容をこれ以上悪くするのは困ります。内閣はもっと介護保険の内容を検討すべきと思います。介護する人の待遇も、もっとよくすべきと考えます。

丸くなったおばあちゃん岩手県・Dさん 50歳代 女

東日本大震災の大津波で自宅が被災し、仮設住宅暮らしをしていましたが、この度やっと、高台集団移転先に新居を構える事ができました。
震災前から、家族にしかわからない認知症の初期症状(被害妄想等)が出始めていた義母は、避難生活で認知症が進み、周りも、自らも認めるところとなりました。30年間同居していた私は、仮設住宅は隣同士(程良い2世帯住宅)でガス抜きしながら「何か困った時はいつでも呼んでね」と壁たたきを我が家のナースコール代わりにしていました。夜中でも時間におかまいなしの認知症の人にとって、不安になったりわからないことがあった時に、すぐ教えてくれたり一緒に解決しようとしてくれる人の存在が、何より安心につながることを改めて認識した次第です。
この5年間で角が取れて丸くなり、「生きているだけで有難い」「忘れても仕方ない」「若い人たちがちゃんと教えてくれるから良いんだ」と、めんこいボケばあちゃんになっています。

自分自身への嫌悪感京都府・Eさん 50歳代 女

91歳、要介護3の母を看ています。レビー小体型の疑いがありますが、いい時と悪い時が交互になってきます。
私自身は、2年半前に乳がんの手術を受け、現在はホルモン療法にて服薬中です。フルタイムで仕事もしています。日々、日常的なことはデイサービス、ヘルパーさん、ショートステイを利用し、皆様のお力を借りて何とかやっています。
私が一番苦しいのは、「早く死んでくれたらよいのに」と思ってしまうことのある自分自身への嫌悪感です。あと、私自身は絶対長生きしたくないと思うようになったこと…。これも少し苦しいです。

認知症はひとごと神奈川県・Fさん 60歳代 女

夫が自分で「この頃、変なんだ…」と言い、すぐ脳神経外科を受診しましたが、「異常なし」と言われ、翌年には、「若年認知症」と診断されました。
自分で「変」と言って10年たちましたが、泣いている暇もない程、忙しく過ごしました。そして夫は今年4月、徒歩7分の場所に新設されたグループホームに入居しました。
この10年で感じていることは、「自分が介護者にならないと、みんな認知症のことはまるでひとごとにしか思っていない」ということです。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。