


- めぐる季節のなかで 冬から春へ 認知症介護
- 北海道石狩郡にある当別町は、4人にひとりが65歳以上という「超高齢社会」。とくに冬は雪と寒さのために閉じこもりがちになります。地元のNPOでは、そんなお年寄りを支えるために、レクリエーションを楽しむ「ごちゃまぜサロン」を開催したり、日々住民同士が交流できるオープンサロンを運営したりしています。さらに社会福祉法人協議会と共同で実施している配食サービスは、単に食事を届けるだけでなく、高齢者の生活を見守る大切な役割があります。当別町の福祉活動の特徴は、こどもや若者を巻きこみ、中高年世代にもボランティアとして参加してもらっていること。世代を超えて住民同士が支え合うしくみを作り上げているのです。

- めぐる季節のなかで 春から夏へ 認知症介護
- 当別町は、高齢になってから移住してくる人も多く、知り合いが少ない世帯は自宅に引きこもりがちになります。2年前に親戚を頼って道外から引っ越してきた小野さん夫妻もめったに外出することはなく、人と話す機会が少ないせいか1年ほど前から夫の達夫さんにもの忘れの症状が目立ってきました。そこで地元のNPOから勧められた、「ごちゃまぜサロン」という月1回の集まりに参加してみることに。今は顔見知りも増え、会話やレクリエーションを大いに楽しんでいるそうです。一方、妻のフサエさんは飼い犬が心配で、参加を断りました。そこでNPOのスタッフは、達夫さんが犬を見ている間にフサエさんを連れ出し、NPOが運営するオープンサロンへ。大好きなコーヒーを飲みながらおしゃべりを楽しんだフサエさんは、笑顔を見せてくれました。

- 知っておきたい認知症の画像診断 vol.2 認知症医療
- 2つの事例を通して画像診断の意義を考えます。1例目は1年ほど前から体のあちこちが痛み出し、「死にたい」と訴えるようになった74歳・男性のケースです。老年期うつ病と診断されて抗うつ薬の服用を続けたものの一向に改善しないため、もの忘れ外来を受診しました。画像診断などの結果から、「レビー小体型認知症」であることが判明。レビー小体型認知症に効果のある薬の服用を続けたところ、元気を取り戻し、体の痛みもなくなりました。画像を用いたことによる正確な診断が、適切な治療につながった好事例です。77歳の男性のケースでは、SPECT検査でアルツハイマー型初期とまったく同じ脳血流パターンを呈していたため、認知症予防介入への参加を呼びかけました。何の症状もでていない状態でしたが、本人は画像を見て納得。積極的に参加するようになり、2年経った今も認知症の発症は認められていません。画像診断の結果を踏まえた早期の認知症予防介入が奏効した事例と言えます。

- 地域の取り組み 山口市・鋳銭司(すぜんじ) 認知症フォーラム山口会場
- 高齢化が進む山口市・鋳銭司地域。保健師の濱村さんは一人暮らしをしている高齢者の家を訪ね、体調はどうか、困っていることはないかなどを聞いてまわっています。しかし濱村さんのような地域を見守る専門職はたくさんいるわけではなく、限界があります。そこで民生委員や福祉委員といったボランティアが連携をとり、見守りが必要な人の家を訪問し、さりげない声かけをしています。また、夫を亡くして以来ふさぎこんでいた女性が、民生委員に誘われて地域の集いに出るようになってから、元気を取り戻したという実例もあります。鋳銭司ではこうしたさりげない見守りが、暮らしの中に息づいています。地域住民総出で、自分たちのためのまちづくりをしているのです。

- 音楽療法のススメ(1) 認知症予防
- 認知症の予防や進行抑制に効果があるといわれる音楽療法。音楽療法の研究と指導をしている東海大学講師の近藤真由先生が、3回にわたってその手順や効果について解説します。1回目は個人を対象にした音楽療法について事例を交えながら紹介します。69歳の倉重トシノブさんは、6年前に前頭側頭型認知症を発症。発症当初は暴言を吐いたり興奮して暴れたりするなど介護する家族は大変な思いをしていましたが、音楽療法に詳しい心理士の訪問指導を受けるようになってからは、ピアノを弾いたりなじみの歌を口ずさんだりするなど、音楽に絡めたコミュニケーションも楽しめるようになりました。

- 音楽療法のススメ(2) 認知症予防
- 音楽療法は集団でも楽しむことができます。福岡・天神で行われているグループセッションの場合、ピアノとピアニカによる軽快な音楽でスタート。続く発声練習では、顔や体をタコのようにくねらせながら、声を出します。歌うときには、歌詞の内容からクイズを出して回想するという工夫も。ひとしきり歌ったあとは、クラシック音楽を聴いて気持ちをリラックスさせ、セッションの終わりにはいつも全員で「ふるさと」を合唱しています。音楽療法は音による刺激だけでなく、笑い、楽しむことが大事。楽しむことで脳が活性化されるばかりでなく、呼吸機能や自律神経もいい状態に保つことができるのです。

- 音楽療法のススメ(3) 認知症予防
- 音楽を使った簡単な頭の体操は、自分たちでもできます。近藤先生が、家庭でも気軽にできる3つの方法を紹介します。一つ目は、「うさぎとかめ」を歌いながら指を1本ずつ折っていく手遊び。続いて、若いころに流行った歌の歌詞を紙に書き出し、隠した部分を当てていくゲームです。昔からなじんだ歌は、紙の上ではなかなか歌詞が出てこなくても、歌っていくと自然に口をついて出てくるものです。3つ目は「音」のリズムに合わせて楽器や手を叩きます。「手を使うことも頭の体操になります」と近藤先生。認知症は記憶することが難しくなってしまう病気ですが、楽しい、嬉しい、といった感情を失ってしまうわけではありません。周囲の人が音楽を通して認知症の人に寄り添うことで、ともに楽しいときを過ごすことができるのです。

- 回想法でココロをつなぐ 其の壱 認知症予防
- 「回想法」は、認知症の予防や症状の改善に効果が高いとされています。回想法を取り入れている青森県五所川原市のグループホーム「祥光苑」では、今まで閉じこもりがちだった入所者が、回想法に参加するようになってからはすすんで職員の仕事を手伝うようになるなど、意欲の向上が見られるようになったそうです。しかし入所者の一人、田中満雄さんは、回想法に参加しても自分から積極的に話をすることはありません。職員たちは田中さんも含めた参加者各々の反応について振り返り、次回に生かしています。入所者に輝いていたころの自分を取り戻してもらうべく、模索し続けているのです。

- 回想法でココロをつなぐ 其の弐 認知症予防
- 施設における回想法の取り組みの後編。当初、回想法にほとんど関心を示さなかった入居者、田中さんの記憶を掘り起こすきっかけになったのは、五所川原市の歴史民俗資料館から借りてきた昔のおもちゃや農機具。田中さんにとっては、子どものころの思い出が詰まった品々です。楽しそうにおもちゃを手にとり、農機具を動かす田中さん。日常生活ではあまり見せることのない「かつての自分」を周りの人に認めてもらうことで、心もほぐれてきたようです。回想法に参加するようになってから、すすんで施設の庭掃除をしたり、職員と買い物に出かけたりするなど、施設での生活を楽しめるようになりつつあります。

- 遠藤英俊先生の認知症基礎講座2 vol.3 認知症医療
- 認知症の診断では、CTやMRIなどを使用して、脳の「形」の変化を画像で確認。さらにSPECTや脳PETといった検査で、脳の血流や脳の代謝など「脳の機能」の変化を調べていきます。こうした脳の画像診断では、原因もわかるようになってきました。最近では、脳の表面の血流状態を調べることで、刺激に対する脳の反応を推測できる「近赤外光脳計測装置」が登場。「その人に合った効果的な刺激」を見つけ出し、「刺激を与えることで脳の血流を活性化させて認知症を予防・治療しよう」という研究も進められています。
