認知症の「本人ガイド」の公開イベント(JDWG・日本認知症本人ワーキンググループ主催)が6月9日に開かれた。認知症の当事者誰もが経験することの一つが、診断されて最初に接する情報がネガティブなものばかりだったということがある。
今年もあとわずか。認知症をめぐるこの一年を振り返ってみたい。といっても認知症はすでに個別の課題から抜け出して社会全体とシンクロしてきている。となると認知症を語ることはこの社会を語るようなもので私の手に余る。
本屋にブラリと立ち寄るのは、魅惑的な世界に足を踏み入れるワクワク感がある。新刊の匂いに包まれて、書棚に並ぶ書籍はまだ見ぬ世界の入り口である。あなたもまたそのようにして本屋に立ち寄ることがあるはずだ。ふんふん、鼻唄を口ずさみながら、オヤ、と立ち止まる。
「あのね、とてつもなく役に立たないという本を出す、というのはどうよ」「は?」眼鏡の奥の怜悧な眼差しがキラリと光って、その女性編集者はボールペンでトントンとテーブルを叩いた。…