
「ご飯まだ?」そんなときも、心に寄り添ってほしい
~お腹がすいたのか、寂しいのか、自分でもよくわからないけど~
自分でもどうしてなのかわからないのですが、「ご飯を食べていない」と強く思ってしまうことがあります。
もしかしたら、さっき食べたのかもしれません。でも、その記憶がうまくつながらなくなっていて、まるで食事を忘れてしまっているのです。
「さっき食べたでしょ」とか、「まだ時間じゃないよ」と言われても、心の中では「食べていないのに、なぜそんなことを言われるのか」と不安になってしまいます。
そんなとき、「いま支度していますよ」とか、「ちょっとお茶でも飲んで待っていてね」とやさしく言ってもらえると、気持ちが落ち着いて、安心できます。
実際にお腹がすいているのか、ただ寂しいだけなのか、自分でもうまく説明できないことがあります。
においや味覚の記憶がぼんやりしているせいか、満腹になっているかどうかがわからず、「もっと食べたい」と思ってしまうのかもしれません。
だから、少しだけ噛みごたえのあるおせんべいや野菜スティックなどで、気持ちを紛らわせてもらえると助かります。
でも、間食ばかりになるのもよくないですよね。そんなときは、ご飯の一部をおにぎりにして少し時間をずらして出してもらえると、自分の中でも納得しやすくなります。
なかには、「ご飯をもらっていない」と人に言ってしまうこともあります。
それは決して責めたくて言っているのではなく、「誰かに気づいてほしい」「かまってほしい」と感じているからかもしれません。
そんな気持ちに寄り添って、一緒に話してくれるだけで、心の中がふっと軽くなるのです。
わたしたち認知症の当事者は、「今」感じていることを大切にして生きています。
だからこそ、今の気持ちを否定されるよりも、受けとめてもらえることが、何よりの安心になります。