認知症の人にやってはいけない事

当事者の声

わたしも、ちゃんとやろうとしているんです

~認知症の人が本当に望んでいる接し方~

私たちは認知症になってから、思いがけない失敗をすることが増えてきました。
カギの置き場所を忘れたり、お風呂のお湯を止め忘れたり――でも、それは決して「わざと」やっているわけではありません。
自分ではちゃんとやったつもりなんです。

それなのに、「またやったの?」「何度言ったらわかるの!」と叱られると、とてもつらい気持ちになります。
「自分は迷惑をかけてばかりなんだ」と感じて、悲しくなったり、自信をなくしたりすることもあります。
だから、たとえ失敗しても、「大丈夫だよ」「気にしないでね」と言ってくれるだけで、心がホッとします。

私たちは、頭ごなしに「ダメ!」「やめて!」と否定されると、自分の存在ごと否定されたような気持ちになります。
できることなら、やさしい言葉で、静かな環境の中で、落ち着いて過ごしたいのです。

そして、知らない場所や人が多いと、不安になります。
見慣れた風景、聞きなれた声、親しんだものに囲まれていると、それだけで安心できるんです。
だから、できるだけ住み慣れた場所で、なじみのある人たちと過ごせるようにしてもらえると、とてもありがたいです。

私たちも、決して「わがまま」を言っているつもりはありません。
ただ、できることは自分でやりたいし、できないことはやさしく支えてほしいだけなんです。