認知症は高齢者だけの病気?

認知症は高齢者に多く見られる病気ですが、決して高齢者だけのものではありません。65歳未満で発症する「若年性認知症」もあります。働き盛りの40代、50代で発症することが多く、老年期の認知症とはまた異なる悩みや課題を抱えることになります。

症状そのものは高齢者と同じように記憶や判断力に影響が出ますが、若年性認知症は、本人も家族も「まさか自分が認知症になるなんて」と思いがちです。そのため発見が遅れやすく、仕事のミスや日常のちょっとした変化を「疲れ」や「うつ」と見なしてしまうことも少なくありません。

若年で発症すると、仕事や家庭の責任、子どもの進学や住宅ローンなど、現役世代ならではの課題に直面します。本人や家族が孤立しやすくなるため、職場や地域の理解、そして行政による支援がとても重要になります。

介護保険は原則として65歳以上が対象ですが、若年性認知症と診断された場合は、一定の条件のもとで利用することができます。また、地域には若年性認知症の人や家族を支える相談窓口や家族会もあります。そうしたつながりを活用することで、孤立せずに前向きに暮らしを続けることができます。

認知症は年齢を問わず、誰にでも起こりうるものです。そして、早く気づき、支え合うことで、希望を持って生きていくことができます。