認知症の人と家族の会 会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」 2023年9月号(518号)

ー お便り紹介 ー

一緒に絵を楽しんでいます埼玉県・Aさん 女
母は認知症と診断されて8年たちますが、急激な変化はしていません。認知症と診断されてから、まず行ったのは、家の整理です。(当時かたづけの資格を取り、その極意をもって片づけました。)お金の整理を行い、保険、証券などを洗い出し本人の安心安全につなげました。日中独居の遠距離介護をしていましたが、2017年の圧迫骨折による同居、その間に絵を描くことでお互いが安らぐことを実感、体がよくなると自宅に帰りたい欲望がでて帰したところ認知症が進み、暴言妄言暴力もありました。そのイライラを癒やしてくれたのは絵を一緒に描くことでこの活動は母の通う小規模多機能でボランティア活動につながりました。しばらくいい具合の遠距離介護が続いていましたが、2021年母に胃がんの末期症状が見つかり、胃の全摘出手術をし、その後同居生活に入っています。手術をするにも認知症ゆえ、病院から出てきてしまったり怒って荒れたりしたことも絵を描く(スクラッチアート)でいやされ集中して、忘れることで無事手術に臨めました。(コロナ禍ではありましたが付き合い入院しました。)同居すると、別居とは違うストレスが多く、介護者の私が、参ることも多いです。ただ私の場合は、もともと主となっていたパステル画の講師としての活動を高齢者や施設につなげ、新たに資格取得した名画のコンダクターのスキルで母と絵を観ることで、母の才能をリスペクトできる要介護3に近い2が、今年の2月に要介護1になりました。家族の声がけ対応が大切なことはわかりますが、介護者が疲弊する気持ちもわかります。たまたま母の場合は、絵を描いたり観たりすることが好きであることを認知症になってから発見しました。介護する人もされる人も一緒にいやされてかつ介護者をリスペクトできる私のような対処法もあることをお知らせしたいなと思います。今目指しているのは、一緒に楽しむ(美術館に行く、絵の試作をする)離れて楽しむ(ショートステイに行ってもらう)です。私の取り組みが、悩んでいる方のヒントになり、また私自身にも、楽しく介護をするヒントをいただければと入会を希望いたします。

特養の生活がベスト!京都府・Eさん 女
母は去年9月に特養に入居しました。コロナのため長らく面会できませんでした。ようやく2023年2月には、リモートで15分だけ面会できました。けれども、やはり私のことは忘れてました。「誰や?」と言われてしまいました。「娘ですよ」と言っても思い出しませんでした。この4月には15分だけ直接面会ができました。やはり私のことはわかりませんでしたが、「久しぶり」とうれしそうに誰かわからないけど知っている人だとは認識してるようでした。生き生きした表情で幸せそうでした。問題だった排泄も職員さんがトイレ誘導してくださって失敗はほとんど無いとのこと。ほんとに母にとって特養の生活がベストだと確信しています。面会は1ヵ月に1回は行けてます。明日行く予定です。楽しみです。10日に1回ほど母へ絵はがき出しています。

前向きな介護を…奈良県・Fさん 男
「認知症介護の悩み引き出し52」を購入し、ただいま拝読中です。認知症介護初心者の私には、気持ちの持ち方の上でも大変参考になります。読了後は、母や妹にも貸したいと思っています。今週末、折角ばね指の手術をしてよくなっていた母の右手がまた腫れだしているのを見ると、父の着替えの補助やふらつきを支える老老介護の大変さがひしひしと感じ取れました。できるだけ、母の気持ちだけは孤立した状態にならないよう、兄妹と母の3人Facetimeで顔を見ながら「それは大変だね。こうしたらどうかな」等々日々の状況改善に向けて愚痴も聞きながらなるべく楽しく話し合っています。今後も引き続き「家族の会」の皆さまがたにお知恵拝借しながら、出来るだけ前向きな介護生活を実践できれば幸いです。先日屋敷代表が話されていた「いい感じでの慣れてくる」状況にはまだまだですが、気持ちにゆとりが持てる介護ができるよう頑張っていきたいと思います。