ー お便り紹介 ー
忙中“歓”あり愛知県・Aさん 男
一人暮らしの母を介護し始めて数年になる。当初は自身、まだ食事作りを少しはすることができた。今はもう包丁を持って野菜を切ることは危なくてできない。記憶力に加え視力もかなり低下してきた。それでもせめて野菜を洗ったりとかスープの味見をしてもらっている。介護はやることが一杯ある。レトルト食品宅配サービスなど楽ちんな選択肢もいろいろあるがしかし何か寂しい。一品でも手作りのものを食べてもらいたい。これは私の「こだわり」です。「一人分」作るのは案外手間である。たびたび失敗。最近少しずつコツが分ってきた。味付けに“どうみても失敗した”と思った時も、母は“おいしい、おいしい”と言って食べてくれる。一人分作るのはまさに忙中“歓”ありです。
私の場合京都府・Eさん 女
私は甲状腺ホルモンへの病気で仮性認知症になりました。その1つに電化製品の事件があります。入院中に携帯電話が通話しなくなって娘に何度も「故障してる」とせがみました。主人に電話してもつながらなく看護師さんに「私は主人に嫌われてるから電話に出てくれない」と言ってました。実は電話を使いこなせなくなってたのです。退院後の話しですが、みごとに電化製品がつぶれていきました。炊飯器が故障してお米が炊けない。洗濯機が動かなくて業者を呼ぶ。台所で焼きそばを焼いたらお肉が真っ黒コゲ。主人には「台所に立つな」とおこられました。一番戦ったのは掃除機です。普通の掃除機なのに組み立てやコード配線、ゴミ処理。一時間以上かけても使えなかったのです。「電化製品が全部こわれた!!」と思ってました。本当は頭の中がごちゃごちゃで使えなかったのです。その時の思いは本当に戦いでした。現在はおかげ様で薬や手術で甲状腺の病気が治まり仮性認知症は治ったつもりです。でも出来ていた事や出来なくなる悔しさは忘れられません。
感謝の気持ち福岡県・Gさん 女
主人81才、胃ろう、気管切開をしています。看護小規模多機能施設に滞在中。1ヵ月に1回2泊3日で自宅に帰っています。3ヵ月に1度病院でペグ※を交換しています。ユマニチュード入門を勉強し、ケアする人は環境の一部だと知りました。「見ること」「話すこと」「触れられること」だと思います。今は感謝の気持ちを伝えたい。ありがとうございます。※胃ろうチューブ
夫からのプレゼント奈良県・Hさん 女
夫が亡くなってもう5ヵ月になります。これからが介護の本番だという時に、急に逝ってしまい、当時は悲しみよりとまどいの方が大きかったです。もっとしてあげられる事があったのではと思う一方で、だんだん出来なくなること、分らなくなることへの恐れや悲しさ、苦しさから解放されたのだという思いもあります。優しかった夫は、最後に自由な時間を私にプレゼントしてくれたのかも知れません。