認知症の人と家族の会 会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」 2022年6月号(503号)

ー お便り紹介 ー

状況は確実に変わっていく愛知県・Aさん 女
介護が始まったのは18年前。認知症の社会理解は本当に変わったなぁ…と驚いています。16年近くの介護の中で「いつ終わるんだろう…」と途方にくれるような心情も経験しました。ある時、家族会関連で出席した会のある先生のご講演で「嵐の中で立ち尽くしてしまうことやうずくまってしまうこともある。でもそれでいい。状況は確実に変わっていくのだから」というような結びの一言がとても心にとまり、「やり過ごす」ことも大切なのだな、と思うようになりました。終わってみると、どの時間もかけがえのない母との時間。その中でいろいろなことを学び得たように感じています。辛く不安な時間は避けたいものですが、「それがあったから今が…」と振り返る日がきっと訪れると思います。ご家族のためにも自分を大切に、一日一日を過ごしていただけることを願っています。

覚悟はしていたつもりだった熊本県・Bさん 女
3年前、60歳台後半でアルツハイマー型認知症と診断された夫のことで悩んでいるとき、知人に勧められ、話を聞きに行ってみようと思ったのが「家族の会」を知った始まりです。夫の両親も認知症だったし、覚悟はしていたつもりだが、あまりに早いと思ったし、他の方の話を聞いて参考にさせてもらいたいと思っています。

様々な申請手続きに走りまわって…岐阜県・Dさん 女
夫(50歳台)は昨年11月から休職中です。突然認知症(診断は4年前)の症状が進行したため、私は仕事の合間に病院受診、精神手帳の申請、介護保険の申請、障害年金の申請、傷病手当の申請、介護サービスの利用のための契約等々、一人で走り回ることになりました。若年性の認知症と診断されてからどの手続きを最初に行い、どの手順で申請を行っていくと良かったのか、考えさせられました。仕事をしながら申請手続きは正直しんどかったです。どこの窓口に行っても時間を取られ、同じ話を繰り返ししなくてはいけない、その割に申請後も認定までに時間がかかる。結局主人が福祉サービスを利用できるようになったのは2月下旬でした。3ヵ月以上、主人は家の中でひとり留守番をして過ごす間に認知症が悪化しました。私もこれから先長く続く介護のことを考え、もう少し時間的に余裕のある仕事へ転職できたらと思い、今年3月末で介護を理由に正規職員の仕事を退職しました。今回当事者の家族となって感じたのは、まずは若年性の方が過ごす居場所が地域にない、このことが本当にしんどいです。地域包括支援センターとケアマネジャーに相談し、デイサービスに利用者の方の手伝いに行くという形で週3日利用しています。また若年性の認知症は経済的にも打撃が大きく、何らかの形で仕事ができる、有償の就労先があるとありがたいと思います。主人のように現役で働いていた人がB型事業所に行こうとすると利用料が高く、利用を躊躇してしまいます。こうした困りごと等を、知ってもらうことも大切なのではと感じています。怒濤の日々が過ぎ、今は少し時間ができました。