認知症の人と家族の会 会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」 2018年1月号(450号)

ー お便り紹介 ー

全国研究集会の会場に行きました徳島県・Aさん 男
11年前から仕事の関係で徳島県に在住しています。長崎県に住む母の介護を同じ長崎に住む兄弟、親戚とともに始めて10年目を迎えました。誰にも理解してもらえない母の行動、また家族間の葛藤で、心身ともに疲弊しておりました。入所施設の方から何度も連絡をいただき、トラブル解消のため帰郷する日々に、何度かどうでもよくなって、一緒に死のうかと考える時もありました。そんな経験をされている同世代の仲間がいなくて辛い時期がありましたが、仕事仲間の励ましがあり、今は落ち着いております。先日、初めて「家族の会」のことを知り、全国研究集会の会場に行きました。もっと早くに知っていればと思う内容で、同感しました。母も今は落ち着いていますが、まだまだ先は長い年齢です。情報収集など、全国での取り組みをもっともっと知っておかなければと思いました。

同じ悩みを持つ仲間神奈川県・Bさん 女
自宅で父と一緒に認知症の母の介護をしています。平成18年に診断されたので、はや11年。10年が在宅介護の限界とよく聞きます。父も老いているので、このまま自宅で介護を続けていけるのか、不安に思っています。「ぽ〜れぽ〜れ」に載っているお便りを読むと、私と同じことで悩んでいる方が多くいることがわかり、安心します。今の母は、紙パンツを交換すると「気持ちいいね、ありがとう」と言ってくれます。その言葉が聞きたくて、いろいろ工夫するのが、私の喜びです。いつまでも聞いていたくて、母を手放せないのは私なのでしよう。

一歩を踏み出すきっかけ長野県・Dさん 男
60歳代の妻はMCIと言われ、アリセプトを服用して1年半になります。妻は認知症を受け入れることができず、認知症への恐怖と不安、それに人に知られたくないという気持ちで、このごろは外出もせず、人に会うことも嫌がります。医師からは人に会うなどの刺激を勧められますが、一歩を踏み出すきっかけがつかめません。妻は同じ立場の人となら話してみたいとも言うので、「家族の会」のつどいなどへの参加も有効ではないかと考えています。

背中を押してもらった兵庫県・Hさん 男
80歳代の実母はまだ診断を受けていません。これまで誰も相談する相手がおらず、ネットや本で認知症に関する知識は得るものの、なかなか具体的な行動を起こすことができずにいたが、やっと先日「家族の会」に電話するに至った。「つどいに参加してみたい」と申し出ると、「当日、会場にきて世話人さんにその旨伝えてください」とのことだった。参加してみると、つどいの雰囲気は非常にフレンドリーで、同じ体験をした者のみに通じるシンパシーを感じ、皆同じように苦しんできたんだと安心した。また、これまで誰にも話せなかった、話しても全く理解してもらえなかったことを話せ、心に溜まったものを吐き出すことができ、重荷をおろすことができる。先行して様々な経験をしてこられた先輩方から、有効なアドバイスをいただくことができる。専門家のゲストに直接質問して疑問を解消できる。という、3つのメリットを実感した。そして、メンバーの方々やゲストの方からいただいた意見で、「今、何をしなければならないか」が明確になった。これまでグズグズしてきたが、つどいで背中を押してもらって、やっと行動を起こす決心がついた。