体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2021年12月号(497号)

ー お便り紹介 ー

本人に合わせた生活千葉県・Dさん 女

80歳台、要介護1の夫を介護しています。介護は毎日が本人に合わせた生活で、戸惑ったり、自分が精神的におかしくなったりして、なんとかしなくてはと思っていました。介護者のつどいの会に参加した時に「家族の会」に入会して、いろいろな人のご意見をお聞きして気持ちを和らげることができたら…と思いました。

母のことを理解してくれる第三者が必要京都府・Eさん 女

父が咽頭癌で亡くなる1年前位から、父が入退院を繰り返すたびに、母は突然怒りだし、暴言を吐くことを繰り返していました。ターミナル期に入り、父の希望通り在宅で看取ることにした時には、一気にパニック状態になり、暴言暴行をおこすようになりました。本人抜きで精神科医に受診し、経過と言動エピソードを伝えたところ、アルツハイマ一型認知症と診断されました。妹は母の状況を受け入れてくれず、父のターミナルも受け入れてくれなかったので、在宅看護は私ひとりで行いました。
不穏な状態がわかってから、地域包括支援センターに繰り返し相談しましたが、母の担当になった方は、母の要望のみで行動され、この7年介護保険の更新切れを繰り返して今に至ります。電話相談で認知症初期集中支援チームに相談するように言われましたが、コロナ感染が広がり、面談できないままになりました。母は担当者に勧められた体操教室に参加しましたが、スタッフに対する不信感が強く、被害妄想で参加拒否になっています。担当者は母が認知症であることを理解できていません。本人がこの数年ケアハウスに入ると言い続けていますが、聞き流しているようです。料理は同じメニューを繰り返すことはありますが、日の管理はでき、洗濯と仏壇の管理もできています。同じものを買う、賞味期限がわからないことは私がフォローし、掃除も私がしています。大きな問題なく過ごせていますが、正直一緒に暮らすことは苦痛でしかないです。施設入所を勧めてほしいのに、担当者が変わらない限り無理だと思っています。私自身看護師として働いており、患者さんのことだと認知症状や不隠行動も冷静に判断できるのですが、母にはそんな対応ができません。母のことを理解してくれる第三者がいてくれたら、どんなに幸せかと思います。このまま認知症が進行してからの対応を待つしかないことに孤独を感じます。

直接面会ができました宮崎県・Fさん 女

10月、コロナ感染状況がレベル1になり、主人がお世話になっている施設も予約制でシールド越しの面会から、居室で直接面会できるようになりました。
前回直接あったのがいつだったかも分からない程だったので、今回直接会うことができ、身体にふれ、手を握ることができてとても嬉しかったです。
主人はシールド越しでも、直接でもあまり変化はありませんでしたが、手を握って「あったかいやろ」と聞くと、にこっと笑って「じゃあね(そうだの意)」と言ってくれ、しばらく握っていたら、こっくりこっくり居眠り…。人の温もりが気持ち良かったのですね。とても心が軽くなって施設を後にしました。

ー 私の介護体験談 ー

認知症の実母と暮らして愛知県支部 60歳代

4年前の出来事

母は長年共働きをしながら私と妹二人を育ててくれました。そんな母と結婚後同じ敷地内の隣家に住むようになったのは、父が癌になって闘病を始めた28年前でした。まもなく父が亡くなり、母と私たち夫婦と子供二人の生活が始まりました。私達夫婦は、常勤で共働きをしていたので、母に平日の子供たちの学校から帰宅時の対応や洗濯物の入れ込みなどたくさん助けてもらいました。そんな母の言動に「あれっ?」と思い始めたのが4年前でした。親しくしていたお仲間からお金を要求されて付き合いをやめたいという話を聞かされました。その頃はまだ仲間内のトラブルかなと思っていました。そうする中、母が圧迫骨折をして、そのお仲間とのつきあいもなくなりました。

認知症の診断にショック

その後、所有していた遠地の土地の売却や母の実家の所有をめぐって、知り合いや親戚とのトラブルが次々に起こりました。その仲裁として私が入らざるを得ませんでしたが、そうすることで母の怒りは私にも向けられるようになりました。この時点で、私は母が認知症になってしまったと確信して、認知症の専門外来に連れて行きました。母は、「アルツハイマー型認知症」と診断を受けました。丈夫な母でしたので、認知症にはならないで欲しいと願っていた私にとって、その時の診断はとてもショックでした。

不安な毎日

地域包括ケアセンターに相談して、デイサービスに週に1回通い始めました。しかし、デイサービスに通うことが母の負担になっていたようで、母が自ら断りの電話を入れ自宅のみで過ごす日々が続きました。それから、さらに認知症の混乱による思い込みでいろいろなトラブルがあり、私自身気持ちが落ち込むことも多く、この先どうなるんだろうかと不安でいっぱいでした。

私と母を救ってくれた学びの場

このままではいけないと思い、地域の認知症家族支援プログラムに参加して、たくさんのことを学ばせていただきました。そして、認知症家族交流会にも参加させていただいています。育ててくれた母、そして子育てを助けてくれた母に対して感謝はありますが、それ以上に認知症になった母の感情の激しさや攻撃にまだ戸惑っている私です。そんな私に認知症の対応や制度、施設のこと、ご家族の経験談がとても役立っています。まだまだ他の方のように全てを受け入れて穏やかな気持ちで対応はできませんが、これからもさまざまな方に助けていただきながら母をサポートしていきたいと思います。認知症になられた方はもちろん、それと同様に家族は大変ということを
身にしみて感じています。このような認知症家族交流会があることに感謝の気持ちでいっぱいです。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。