認知症の妻介護体験記栃木県支部

ついに別れの日が

妻は認知症を患い2年前に他界した。病名は若年性アルツハイマー型認知症。亡くなったのは、令和4年2月。1月下旬にそれまで朝、夕、食事として胃ろうから栄養を入れていたが、入りにくくなってきたと連絡があり、子供達にも連絡し急いで面会に。新型コロナ感染拡大に伴い、週1回の窓越し面会しか出来ない時であったが、個室で、他の部屋からは離れていることもあり、入室面会をさせてくれた。以降、毎日入室面会を許され直接会うことができるようになった。子供達も仕事の合間の短い時間でも会いに来てくれた。亡くなる前日夕方に会いに行った時は、想定するような状態ではなく“また明日来るね”を言って帰宅。翌朝連絡が来た時は“まさか”と思った。妻には長い間辛い思いをしてきたことに対し、“お疲れ様でした、安らかに”と言ってあげたい。

関わった方々に感謝

家に連れて帰ろうとした時、入居者全員と職員が見送ってくれた。この施設に入居できたことが何よりも良かった。入居者の為に、年間を通して様々なイベントを企画し、入居者に良いと思う事を色々取り入れて楽しませてくれた。普段あまり表情を変えない人もイベントの時は生き生きとし輝いていた。
発症してから我々家族全員が妻中心の生活になり、大変ではあったが生き甲斐にもなって、笑顔を見せてくれると元気をもらえ励みになった。平成29年8月に胃ろうを造設。この1年位前から徐々に食事を食べなくなり、誤嚥が心配の為、口に残った食事を取り出すことも頻繁に。嘱託の先生からの勧めで言語聴覚士のリハビリをやってみた。ロの動きに変化が見られこれまでと違いよく動いた。食べる量に大きな変化はなかったが咀嚼、嚥下の動作が全く変わった。以降毎週リハビリを依頼した。
胃ろうを勧められた。言われる前から自分なりに考え葛藤し、一人悩むことも多かったが、子供達にも伝えていた為、話の際には子供達も同意してくれた。造設してからも長い間、昼食は経口摂取が可能に。造設して5年、元気になり確実に栄養がとれふっくらと太ってきた。以前は冷え性がひどく、かかりつけ医からは常時靴下を履かせるよう言われてきたが、冬でも足はほんのり暖かくなった。胃ろうにして良かったと思っている。通院外出や花見、ショッピングモールへ家族との外出も可能になり、こんな時が来ることは夢のようだった。介護してきた自分自身、良かれと思ったことを、やるも後悔、やらずも後悔と思っており、いずれにしてもつきものである。結果は未知数、全く分からないからだ。