認知症の治療法にはどのようなものがある?

~治療とケアで、できることはたくさんあります~

現在の医学では、認知症を完全に治す治療法はまだ見つかっていません。
でも、あきらめる必要はありません。
薬による治療やリハビリ・ケアによって、進行をゆるやかにしたり、症状を軽くしたりすることができるのです。

● 薬による治療(薬物療法)
日本では、認知症の症状を改善したり、進行を遅らせるための「抗認知症薬」が使われています。

塩酸ドネペジル(1999年に登場)

ガランタミン、リバスチグミン、メマンチン(2011年以降)

これらは、特にアルツハイマー型認知症に有効とされ、
一部の薬はレビー小体型認知症にも保険適用されています。

また、興奮・徘徊・妄想などの**行動・心理症状(BPSD)**が強く出た場合には、

抗精神病薬

抗不安薬

抗うつ薬

漢方薬

などが、症状の和らぎを目的に使われることもあります。

● 脳に刺激を与える「リハビリテーション」
認知症の治療には、脳の働きを刺激し、残された力を活かすことも重要です。

たとえば:

計算や音読、書き取りなどの認知機能訓練

昔の思い出を語る「回想法」

音楽を活用する「音楽療法」

絵を描いたり作品をつくる「芸術療法」

これらは、本人の気持ちを落ち着かせたり、自信を取り戻す効果も期待されています。

● 家族の関わり方が「もうひとつの治療」
薬やリハビリと同じくらい、日々の暮らしの中での接し方が大切です。

認知症の症状で起きる行動に対して、つい叱ってしまったり、強く注意したくなることもあるかもしれません。
でも、本人は「なぜ怒られているのか」がわからず、不安や混乱が強くなるだけのこともあります。

まずは「認知症という病気のせいなんだ」と理解し、
やさしい声かけや、安心できる環境づくりを心がけてください。