漢方医学で処方される薬を「漢方薬」と呼ぶ。漢方医学は約2000年前の中国の伝統医学を起源とする日本独自の伝統医学である。漢方薬は、生薬(自然界にある植物や鉱物などのうち薬効を持つ部分)を、原則として2種類以上組み合わせて調合され、湯剤・散剤・丸剤などの剤型がある。湯剤は、必要な生薬を水で煮出した薬剤で煎じ薬と呼ばれることもある。現在の日本の医療現場で最も普及している剤形はエキス剤と呼ばれるもので、携帯しやすいなどの利便性に優れ、安定性や品質が保証されているという特徴がある。
医師が処方する医療用漢方製剤と、薬局で市販されている一般用漢方製剤があり、医療用漢方製剤は健康保険が適用される。認知症の行動・心理症状に対して、「抑肝散」がイライラ、興奮や不眠などに処方され、「釣藤散」「抑肝散加陳皮半夏」「黄連解毒湯」「当帰芍薬散」など多くの漢方薬が、認知症に伴う諸症状や種々の身体合併症に対して処方されている。