【お便り紹介】 本人の思いを尊重して/少し余裕が出来て・・・/最近イライラしています/情報を集め伝えるけど・・・ 【私の介護体験】 ある日突然主人が脳梗塞 そして認知症に
体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2015年3月号(416号)

ー お便り紹介 ー

本人の思いを尊重して神奈川県・Yさん 48歳 女

81歳の母は一昨年くらい前から、認知症の兆候があり、様子を見ていました。今年、年末年始の帰省時には、生活が難しくなってきていたため、現在病院にて検査中です。介護保険の認定も申請しました。
病気の兄と二人暮らしのため、また、本人は活発で介護されることや、人の手を借りることに抵抗が強いため、本人の思いを尊重しながら、どうサポートしていくか、苦慮しています。

少し余裕が出来て・・・長崎県・Nさん 51歳 女

4年前にアルツハイマー型認知症と診断された母は現在81歳、要介護2です。診断された直後から「広報ながさき」で会の事は知っていましたが、仕事をフルタイムでしていたため、参加が出来ずにいました。2年前に退職し、デイサービスやヘルパーさんの助けもおととしから定着しました。私はパートに出てはいるものの、少し時間が取れるようになったため「家族の会」に参加、いろんな方々の助言を頂いて、前向きになれた気がします。

最近イライラしています京都府・Iさん 67歳 男

アルツハイマー型認知症の93歳の母を6年介護しています。現在要介護2です。今までいろんな本を読んだり、いろんな方に聞いたり、自分なりに介護してきましたが、最近自分自身がイライラしています。いけないと思っても、母に強く言ったり、ひとり愚痴ってしまいます。
同じ介護をしている方々と話が出来れば、落ち着けるかと思い「家族の会」に入会しました。

情報を集め伝えるけど・・・愛知県・Iさん 61歳 女

87歳の認知症の母は、兄夫婦と同居しています。認知症の介護や接し方、関わり方について情報を集めて兄夫婦に伝えているけれど、認識共有がしづらいです。兄夫婦のこれまでの生活リズムを変えなければならないことに抵抗感があるためだと思います。今、少しずつ受け入れてくれてはいますが・・・。

ー 私の介護体験談 ー

ある日突然主人が脳梗塞 そして認知症に福井県支部会員

認知症の発症

「ちょっと体がおかしい・・・」呂律の回らない口調で携帯電話からの主人の声。2005年8月12日、午後の出来事です。私はびっくりして仕事先から家に戻りました。居間のテレビの前で尿を漏らして倒れていました。救急車で運ばれて、検査の結果は脳梗塞。
右半身麻痺で40日間の病院生活は主人の生活を180度変えました。言葉を失い、立つこともできなくなって主人も戸惑いましたが、それ以上に看病経験ゼロの私にとっても青天の霹靂でした。主人は59歳の誕生日を迎えて4ヵ月目の出来事でした。私は54歳、まだまだ介護は他人事のつもりでした。

断られ続けた介護サービス

介護サービスは退院後すぐに受けられるようになっていました。ところが、元気だった人がある日突然病人ですから、病気慣れもしていません。デイサービスに行っても帰宅願望が強く、また、力は十分にあり車椅子で暴走しては、周りの人に迷惑をかけていました。お願いしたデイサービスの方から断りの連絡が何度かありました。その都度、私のピンと張った心の痛みが限界にきていました。
そして、3ヵ月程お願いをしていた所からも、とうとう断られたのです。帰り際に「もし、あなたのお父さんが今の主人のような状況だったらどうしますか? 」と尋ねますと、「僕だったらドクターを探します」と言ってくださいました。実はその頃、主人は脳梗塞から認知症になっていました。ところが私は、脳梗塞は受け入れたのですが、認知症は認めたくなかったのです。ですから、人にも主人が認知症であることを言ってなかったのです。

転機

崖っぷちに立った私は、ようやく知人に認知症のことを言えたのです。びっくりした知人は、それだったらと病院を紹介してくれました。さっそく、主人とその病院を訪れました。私に何枚かの書類をくださり、細かく記入して帰りました。そして、何日かして私だけが病院に呼び出されました。私のカウンセリングでした。
ソーシャルワーカーの人と看護師さんが、二人でじっくりと3年間の私の想いをすべて聞いてくださいました。娘たちにも、親にも、友人にも、誰にも言えず、ただこれは私のことだから・・・と自分に言い聞かせては我慢していたすべてのしこりを、涙とともに何の気遣いもなく出すことができました。そして、私の気持ちをわかってくださる人がここにいる、という安心感で心が温かくなったのを感じました。3年間のモヤモヤが、とてもスッキリとして長いトンネルから抜け出せた気がしました。(余談になりますが、先日、福井で介護されていた奥様がご主人を殺めた事件がありましたが、私のようにカウンセリングの機会があったならば、こんな不幸な結果にはならなかったかもしれないと、残念でなりません。)
それから、やはりショートステイやデイサービスをお願いして、1週間に4日はデイ利用で、私は仕事に全力投球することにしています。その代わり、週3日は主人に100%の日にする、このようにして気分転換しながら心豊かに生活しています。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。