体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2024年12月号(533号)

ー お便り紹介 ー

病名を知ってしばらく寝込みます富山県・Aさん 女

アルツハイマー型認知症。この病名がぐんと身近になったのは、2012年5月。実母の言動が明らかにおかしいと気付いた時でした。
母の住むアパートへ何度も往復する切なさ。病状は急激に悪化。年末には母が入所出来る施設探しに走り回ります。
主人の決断でやっと市内の介護付きアパートに入所。それからは、私の通院の帰りに母の居る施設を訪れます。
行く度に(刺激の少ない施設暮らしで)ますます悪化していく母に会うのは辛かった。
成年後見制度の申請(沢山の書類が必要)にかかわっていた2013年12月、母は悪いものを食べたのか(不明)嘔吐を繰り返し、心肺停止状態となり、何とか間に合った。私が手を握るなか帰らぬ人となりました。
2019年度、初期アルツハイマー型認知症の血流低下パターン。血流分布。
初期のアルツハイマー型認知症。この言葉はそう考えたくなるくらい受け入れたくない現実だったのです。
振り返れば、主人が何気なく「お料理下手になったなぁ」と言った言葉が私達の気付きの一歩だったと思います。
夕食が出来上がるのに時間も要するようになり、夜の10時を過ぎても、まだもたもたしています。生協の発注も辛くなってきました。出来ないのではない。出来るけど辛いのです。
この頃の私は、ベッドで長時間寝込むようになりました。持病の双極性感情障害による「うつ状態」なのか、自分で訳が分かりません。とにかく、よく寝込みました。
そうしているうちに「認知症の人と家族の会」と出会い自分と同じ若年性アルツハイマー型認知症でありながらキラキラ輝く人達の存在を知るようになります。
その輝きを私は「希望」とよびたい。寝込んだのはこれから現実と向き合い、乗り越えていく為の基礎体力づくりだったのだ。私は今日も生きていくのだ。

「認知症の人」という言い方について東京都・Cさん 男

「ぽ〜れぽ〜れ」では、本年4月号から、「『共生社会の実現を推進するための認知症基本法』を暮らしに活かし育てるために」という記事が連載されております。
ここに登場する「認知症の人」という包括的な言い方に、認知症の家族をもつ者として違和感があります。
認知症患者は、軽度認知障害(MCI)、軽度、中度、重度、終末期の各進行段階で全く異なる様相を示しながらほぼ確実に進行し、さらに中核症状に対する周辺症状(BPSD)になると、個人差や周辺環境も含めて千差万別となります。そして、それは認知症特有のものであり、認知症以外の身体障害や身体介護とは似て非なるものがあります。
「認知症の人」「認知症の本人」「当事者」という場合、どの進行段階の人を指しているでしょうか。
「認知症になると何も分からなくなり、できなくなる」は、暗い印象となり、MCIや軽度(初期)の認知症の人にとっては不本意であり、「古い認知症観」と言えるかもしれません。
しかし、認知症が中度以上に進行すると、「認知症になると何も分からなくなり、できなくなる」は現実問題であり、介護する家族や受け入れる施設の負担は多大になります。
ー方、「早くから気づき自分も周りの人も上手く対応していければ自分なりの人生を切り開くことの可能性が広がる」「認知症になってからも、一人一人が個人としてできること・やりたいことがあり、希望をもって自分らしく暮らし続けることができる」という「新しい認知症観」は、MCIや軽度(初期)の認知症の人にとっては、おそらくその通りでしょう。しかし、中度以上に進行した人やその家族にとっては、そのような暮らしは願ってもできない現実があります。

大人用の紙オムツについて新潟県・Eさん 女

ぽ〜れぽ〜れ11月号会員さんからのお便りで「大人用の紙オムツについて」ですが、私の両親(父は7年前、母は今年の10月に亡くなりました)も紙オムツを履いていました。特に父がお漏らしが酷く、シーツ・布団・洋服を汚してしまい特に冬場はシーツ・布団・洋服が干す事が出来ずコインランドリーの乾燥機で乾燥をして乾燥機代もバカになりませんでした。
紙オムツの件ですが、尿取りパッドを使うのは、どうでしょうか?同じメーカーの紙パンツと尿取りパッドを使うと漏れないと思います。父の場合、薄手の紙パンツに尿取りパッドを当てたり、お金がかかりますが病院受診の時は厚手の紙パンツ1枚履いて受診をしていましたが漏れませんでした。私の住んでいる新潟市は数年前迄は要介護1から要介護5迄オムツを支給していましたが、介護の予算が削られ認知症で俳徊が酷い。私の母みたいに要介護5で寝たきりで非課税世帯の家にしかオムツを支給しなくなりました。オムツ代もバカになりませんよね。私は、オムツが足りない時に両親がデイサービスやショートステイを利用している時、リサイクルショップに行って紙オムツがあるか探しに行ったり、ドラッグストアの袋が破れてるだけで中身は何も傷んでない(割引シールが貼ってあるので)のを買ったり、兄から少しオムツ代をもらったり、ケアマネさんから試供品をもらったりしていました。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。