体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2016年5月号(430号)

ー お便り紹介 ー

幸福に出会えますように(ぽ~れぽ~れ3月号「どう考えればいいのでしょう」を読んで)  岡山県・Aさん 男

私も要介護3の母の介護を始めて4年程になりました。Dさんの「少しでも楽しくこれからの時間を過ごすためにも、何をしたらいいのか、どう考えればいいのか気づきを得たい」という言葉に、ほんの少しでもお力になれればと思い、お便りを出します。
PHPという雑誌の4月号の片柳弘史という山口県の神父さんの書かれた「すべては本当の自分になるために」という中に私の心に残った言葉がありましたので、紹介させて頂きます。片柳さんは宮沢賢治の言葉を引用し、次のように述べています。「険しい道を苦しみながら登るとき、私達はそれを不幸だと感じるかもしれません。でも、その道だけが本当の幸せに続く道だとしたら、その道を通らなければ幸せにたどりつくことができないとしたら、その苦しみは果たして不幸なのでしょうか」と。
Dさんとお母様がこれから進む、おそらく険しい道の先で、本当の自分になれて、幸福にも出会えますようにお祈り申し上げます。

おかしな事ばかり言う母鳥取県・Eさん 70歳代 女

母を介護していた時、おかしなことを言っていました。どうしてよいのかわからなくて大変困ってしまいました。
最初は、「虫がいる。早くとってくれ」「ほら、そこにいるがな、早くとってくれよ」と申します。虫はおりません。「虫なんていないよ」と返すと、「そこにおるがな、見えんだが」と怒り出します。またある時は、「人が大勢きとんなるが、なんでだ?」「誰もいないよ、私だけだが」そして、ついには、食事をベットに運んでいくと、「毒が入っているんじゃないか?私は食べんよ」と、いくら否定しても言い張ります。
どうしてこんなことになってしまったのかと、悲しく、情けなくて、夜も眠れなくなってしまいました。「ぽ~れぽ~れ」に何でも相談しなさいと書いてありましたので、電話しました。「それは、お母さんが言っているのではなくて、病気が言わせているんだから、心配しないで、しばらくその場を離れていなさい。そうすれば、忘れてしまって普通になります」とアドバイスいただき、気持ちが楽になりました。その母も5年前に亡くなりました。

別人のような夫をみていて…宮城県・Hさん 60歳代 女

早くアルツハイマー型認知症を治すお薬や治療法ができないものかと、毎日神様にお祈りしています。早く、早く…。
介護の現場で働く人たちのご苦労、家族のとまどい、こんなつらい毎日はありません。人間はいつかは死を迎えますが、人間として人間らしく生きたいです。アルツハイマー型認知症の主人をみていると、主人ではなく別人のようです。胸が痛み苦しく辛い毎日です。
政府がなんとか、早く力を入れて病気が治るように研究を進めないと、世の中が変わってしまいそうで心配です。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。