体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2017年9月号(446号)

ー お便り紹介 ー

介護中のみなさんへ兵庫県・Bさん 女

私は昨年秋に胃の痛みで受診したら胃がんでした。手術を受け、今は大丈夫ですが、胃がんが1cmになるまでに十数年かかります。母の介護と重なる時期です。自分が健康だと思って頑張りすぎたかもしれないし、検診もさぼっていました。
介護中の皆さん、自分の身体を大切にしてください。一人で頑張らないで、人に頼り、サービスを利用してください。そして検診も受けて、早期発見・早期治療なさいますように。
皆様の健康をお祈りしています。

人手不足の現場岡山県・Cさん 女

元介護家族です。祖母の介護をきっかけに地元に戻り、障がい者福祉から高齢者福祉に転職をしました。5年のうち、3つ目の転職です。頑張れば頑張るほど、まかされる仕事は増えますが、人手不足のため満足な介護は提供できていません。
私を含め、心身を病んで辞めていく人の多い現場です。理想論、根性論ではどうにもならないところまできていると感じています。「家族の会」で勉強をさせていただきながら、介護される側も、する側もより幸せになれますよう取り組んでまいります。

老々介護の毎日大分県・Eさん 女

主人は私より2歳年上で2人とも80歳代、老々介護です。夫は認知症と診断されて15年になります。小規模多機能型のデイサービスに行っております。毎週日曜日だけショートに預けています。私が元気な間は、デイサービスを使いながら家で介護したいと思っています。
徘徊、暴力を乗り越えて、今は借りてきた猫のようにおとなしく、もちろん私もわからず、言葉も出ません。自分で食べることもできません。オムツ替え、食事介助は大変ですが、私は主人の介護を苦にせず、楽しむことにしています。毎朝ベットから起こすのが大変ですが、起きてくれてありがとう、お利口さんとハグしてます。
「幼な児に なりたる夫に ハグをして 演技する我 迷女優なり…」。今の心境です。

仲間に出会い救われた栃木県・Gさん 女

夫は60歳代、10年前に若年性アルツハイマー型認知症を発症し、2016年に「家族の会」に入会しました。いたってゆっくりの進み方だったのですが、ここ3年ぐらい前から病気の辛さと悲しみに夫婦して苦しんでいましたが、オレンジサロンで仲間と出会い、救われました。医療も大切ですが、仲間から聞く経験や対応の仕方がどんなに貴重で心強いか。夫は退職後でしたが、若い方の発症は、子どもの進路など、非常に心が痛みます。この会を苦しんでいる家族にぜひ知ってほしいと願います。会報も楽しみに読んでいます。

ー 私の介護体験談 ー

若年性認知症 うちの場合佐賀県支部 70歳代

 

つれあい71歳の病歴も13年となりました。37年間暮らした千葉県から故郷の唐津へUターンして8年が過ぎ、つれあいの変化に苦労する日々でした。今は病状も落ち着き2年半となる特養での生活も安定しています。すでに介護度5の全介助ですが、食事もミキサー食ながら、しっかりと食べているし、普通の車椅子での散歩、週3回の足のグルグルリハビリ(ソファに座って自転車のこぎ足)等、それなりに充実した暮らしと思っています。月一回は2時間程度ですが、自宅に帰るサポートもあります。

自分のために

つれあいの安定に私も少し自分のために何かをと「ゆめさが大学」に入学しました。ゆめさが大学の趣旨は、「シニアが外周活動を通じて新しい仲間と出会い、また自己の新しい生き方を創造し、地域社会で明るく積極的に活動するための総合的、体系的な学習機会を提供する」です。つまり、仲間作りと地域貢献ですね。大学1年目は基礎課程、2年目は実践課程、大学院は1年間。入学資格は60歳以上ですが、65から70歳が一番多いようです。80歳以上の方もいらっしゃいます。学ぶのに、年齢は関係ないのです。
私自身、唐津に生まれ育ちながら、唐津はもとより、佐賀県のことは何も知らずに生きてきたことにハタと気づきました。歴史をはじめ様々な講義内容は、毎回楽しく興味を引き出してくれました。大学とは言っても試験があるわけでもないので気楽です。講義だけではなく郊外研修もあり、NHK佐賀放送局と佐賀城本丸歴史館の見学に参加しました。上級生による入学歓迎の懇親会やグラウンドゴルフも初体験でした。

自己犠牲では長く続けられない

介護だけの生活は苦しいです。確かに今までは、気持ちの余裕がありませんでした。以前、2歳年上の姉に愚痴った時に言われました。「自分の人生を生きなさい」と。でもその時は自分の人生なんてと反発しました。ひたすらつれあいの病状と先の見えない介護に不安だったからです。今回の「ゆめさが大学」を一番喜んでくれたのは、この姉でした。つれあいが一番大切なのは、当たり前ですが、自分の人生も生きるべきと教えてもらったと思います。
7月9日の佐賀新聞のコラム「有明抄」の九州北部豪雨による被害が大であるとの内容のところにナイチンゲールの言葉がありました。「天使は美しい花をまき散らす者ではなく、苦悩するもののために戦う者である。犠牲なき献身こそ真の奉仕」。自己犠牲では長く続けられない。組織だった仕組みが必要ということです。介護もそうではないでしょうか。「自分が頑張れば」の思いが自身を追い詰める。そこには「家族の会」が存在する意義があると思います。どうぞお一人で悩まず、介護のつどいに参加して話しましょう。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。