体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2018年3月号(452号)

ー お便り紹介 ー

失敗はあるけど、明るく生きています栃木県・Cさん 女

100歳に12日足りない義母を見送り、78歳になったばかりの主人は突然、2015年11月の夜、この世の生活のお別れとなりました。二人とも認知症になっていました。今度は私がバトンタッチしたようで、翌月にはMCIとの診断を受け、薬を飲み始めました。5mgまでは良かったのですが、レミニール、リバスタッチ、メマリーの3種とも10mgになると吐き気が激しくなるので、今はサプリメントを飲んでいます。
一人暮らしですが、皆さんに支えられて前向きに明るく生きています。失敗はたくさんありますが、一人で注意し、ごめんなさいを言ったりして楽しんでいます。この間は、物忘れ外来で支払いを忘れ、事務員さんに「支払いをお願いします」と言われてしまいました。(笑)

今からのスタートです岩手県・Fさん 女

80歳代の母は、昨年末ごろから認知症を疑う症状があります。今後を考えて早めにと思い、介護認定を申請しましたが、調査をしてもらった直後から、物忘れや新しいことを覚えられなくなったり、現金の管理が難しくなってしまいました。それに加え、腰痛で食事の支度もできなくなり、本人も内心苦しいと思います。子どもは私しかおらず、遠方に暮らすため、通うのも大変な日々。そんな私を見かねて叔母がいろいろ力になってくれた際、「家族の会」を教えてくれました。今からのスタートです。

前を向いて歩いていこう大分県・Hさん 女

75歳の主人を5年、介護してきました。今は鼻腔から胃ろうになり、施設に預けて1年が経過しました。しばらくは家の中にポッカリ穴があいたようで、2日に一回は会いに行っていました。資格をいかしてとグループホームから声がかかり、午前中パートに出るようにしました。
市報で「家族の会」を知り、3年前より入会しています。いろいろお話を聞き、主人を介護していた時のことを思い出し、もう少し在宅介護を続けたかったという思いもありますが、施設の方の温かい対応に嬉しくて涙する時もあり、とても感謝しています。これからは残りの人生、前を向いて歩いていこうと思っております。

笑いと歌を忘れずに新潟県・Iさん 女

早朝、オシッコ漏れでベッドも衣類も…。全更衣でヘトヘト、でも、アハハ…です。今、日々変身の真っ只中。介護に定説なし…を身をもって知ることになり、時にボーゼン!です。また、日をかえて、介護者自身の心身のコンディションのいい日はそれを楽しめることにも気づきました。変幻自在な夫の変身ぶりに併せる気力、体力、知力…この三者をキープすべく、日夜頭をひねり、行きついたところは、やっぱり笑いと歌を忘れずに!でした。どんな時も優しさは最高の良薬ですね。枯渇しないよう自身もチャージしながらです。

ー 私の介護体験談 ー

我が家のおっとう(おとうさん)刺激作戦青森県支部 60歳代

「仕事辞めたい」、「私があなたを支えます」

若年性アルツハイマー型認知症と診断され約一年半、62歳となった夫の日常生活の紹介です。2人の男孫には遊ばれ相手、近くに嫁いだ長女には時々叱咤され(それなのに笑顔での対応…どうなっているの?)、私たちの家のすぐ後ろに住んでいる長男には発破を掛けられ、最後私には止めを刺されて、「うるさい!」と抵抗している夫です。ここで私、夫を褒めることにしています。「神様、仏様の御飯、風呂掃除、家の回りの草取り、毎日のお仕事、そして昨年の11月からの職場復帰、本当にありがとうね。感謝しているんだよ」と。夫は「そんな事はない、当たり前だよ」と笑顔になります。
時々、趣味のパークゴルフ、毎日の山野草の手入れ、町内会の集まり、お寺の草取り奉仕に参加してくれます。診断時と比べると薬を飲んでからは自分の事が一人ででき、行動が早くなったようです。日付、時間が分からない時もありますが、助言することで理解できていると感じます。
時々、「仕事を辞めたい」と言う事があります。「忘れて、ダメだ。人を馬鹿にして…」。あまり愚痴を言わない夫が久しぶりに話していました。理由は言えない様子なので自分で話すまで待つことにして、「私があなたを支えます。そして私の事も、時々支えてくださいね」と伝えました。

家族6人で八戸探検

今後の計画は家族6人で、地元のねこバス(地元の絵本作家・馬場のぼるさんの作品)に乗って孫との八戸探検です。ちなみに手すりがねこの形をしているとか、椅子とかどうなっているのかいろいろ、ピンクのバスと黄色のバスの2台があるようです。
馬場のぼるさんのイラストの絵が描かれたねこバスに乗って、夫に刺激され、想像する私です。

〜孫とのひととき〜
5歳になる女の孫が歌っていました。
僕たちは小人、お仕事大好き
そこで私も歌ってみました。
僕たちは大人、お金が大好き
僕たちは大人 お昼寝が大好き
僕たちは大人 おしゃべり大好き
もう止まりません

孫は、ナニ?という表情です。
少しふざけ過ぎました。あしからず。こんな毎日を送りながら、夫と私たちの暮らしが続いています。がんばって、仕事にいってらっしゃい。辞めたい時はいつでも辞めていいよ。こんなゆるい感じです。
今年、RUN伴で夫に励まされて走ったことは、夫にも私にも思いがけない発見がありました。また走りたいです。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。