体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2023年7月号(516号)

ー お便り紹介 ー

老親を支えるヒントが得たくって!奈良県・Aさん 男

今回、初めて「家族の会」のつどいに参加させていただきました。
83歳の母が神戸の実家で88歳の父を介護しています。私としては、土日に父を散歩に連れだし、ひと時でも母を休ませたいとは思うのですが、実際老夫婦だけのワンオペ介護は本当に大変そうです。
「つどい」では、いろいろなアドバイスを頂き、考える機会が持てました。当初、こういった会はジメジメした雰囲気かと思っていましたが、実際に認知症介護をされてきた皆様のお話は明るくウイットに富んでいて、大変励みになりました。
今週末も泊りで神戸の実家に行きますが、いろいろアドバイスを賜り、少し頭の中が整理出来てきたのでちょっと気が楽です(笑)
母は、まだまだ日々睡眠不足状態でトイレやお風呂補助や着替えの世話等大変みたいですが、なるべく身体的疲労を軽減してあげられるようにいろいろ工夫していこうと思っています。

勉強します沖縄県・Bさん 女

一人で介護をしております。介護のヒントや戸惑いを共有できる場がなくてネットでいろいろみていたら、そちらを知りました。
早速入会案内を申し込み、届いた「ぽーれぽーれ」を読みました。ここならわかってもらえると思えたことが良かった。
そしてこれから経験するであろう様々な事を経験された方から教えて頂ける安心感があります。介護は経験された方の経験談を聞く事がなにより助けになるように感じます。これからもいろいろ勉強させてください。

キャラバン・メイトとして新潟県・Dさん 女

今から30年前のころです。母は認知症を患い亡くなりました。まだ侮蔑的な「ボケ」とひとくくりに見られていた時代です、私自身も認知症という病気は知りませんでした。農家の跡取り娘として年中畑を耕し夫や家族に尽くした母でした。症状が進むにつれ、日々変わりゆく母を時には邪険に扱ったり、回りに対し恥ずかしい思いで隠したり…家族、兄妹が母を目の前にして争ったり…遺伝したらどうしようと漫然とした不安を抱き、今にして思えば母の気持ちに寄り添った行いなどは思い出せず優しい言葉の一つも残念ながら言動を思いつくことが無く恥ずかしい限りです。
今認知症を学び傾聴ボランティアとして高齢者に関わり多くの認知症の症状をもった方に向き合っています。と共にそのご家族にも私と同じ後悔をしていただきたくないとの思いからキャラバン・メイトとして介護者とも向き合っています。せめて母があの世で笑顔でいてほしいと願いつつ…

認知症基本法の成立にあたり東京都・Fさん 女

78歳、要介護2の母は昨年5月末に施設入所致しました。徘徊が始まったことがキッカケでした。コロナ第6波の終わりで、行動制限ナシ旅行オッケーとなった時期でした。しかし、第7波の影響で、自室軟禁・外出面会禁止・レクリエーション等中止、食事はお盆で部屋へ運ばれ運動機能も低下、他者とのコミニケーションが損なわれたことで、症状が著しく進行してしまいました。無表情の“蝋人形”のようになってしまった母。私は自分を責めました『入所させていなければ、母は自由だった…』泣き崩れました。
でも、泣いていても何も変わりません。毎日、母のもとへ通い話しました、一日も休まず。ひと月経つ頃、私のことも思い出し表情が戻りました、奇跡的です。
あれから半年ほど経過しました。母は元気に過ごしております、私も可能な限り顔を見に行っております。最近、このメモを母の部屋で見つけました。『さみしい』『ひとりポッチ』母のたどたどしい文字に胸が詰まりました。認知症であっても、心の、気持ちの表現はできるのです。認知症患者にとって、他者とのコミニケーションは必須です。愛する人・大切な家族から切り離してならないのです。
今後繰り返されるであろう感染症への対策に、認知症基本法が生かされることを切に願います。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。