体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2023年10月号(519号)

ー お便り紹介 ー

不満が強くなり…熊本県・Cさん 女

妻が夫に対し、長期にわたり介護して、夫婦共に高齢となりました。
多様な病を持つ夫の介護が過度な負担となり、夫の安全を確保する手段として老人ホームへ入所することを選択しました。
その結果、夫の不満が日ごと強くなり、その対処に困り果て、何かヒントをいただきたく入会しました。

要介護5になって愛知県・Hさん 男

令和元年12月にやっと病院へ連れていって、アルツハイマー認知症と言われた。令和2年に「家族の会」に入会、懇親会などに出席し、認知症の本も買って勉強した。妻の認知症の進行が早く、令和4年1月に要介護3、11月に要介護5となった。その間、私と長女が泥棒と言われたりなどして、私の勉強不足で怒ったりした。
令和3年に施設入所したが、コロナ禍でZoom面会になった。令和4年10月頃から傾眠傾向になった。同じ頃に私の顔を認識できないことがでてきた。今年5月よりコロナが第5類となり、現在は毎日面会に出かけている。妻は旅行が好きだったので、旅行先の写真集や孫の写真などを持参して連想させようと努力している。孫の写真を見て「かわいい」と時々発言するときがある。妻は10人並みの器量でしたので、くどいほど妻の容貌を褒めて写真を見せています。ポジティブなことを選んで話しかけています。私の話す意味が通じる時があるようでうれしそうな様子も見受けられますが、最近は反応があまりないようになった。
面会で気分が良い時は孫の写真を手に持って盛んに私に話しかけます。話しの意味は分らないけど、態度で妻に合わせています。時間がきて介護士さんが妻を連れに来られる時に「また、明日来るね」と手を取って言うと妻がうなずく時もある。今は、反応が出ないことが多くなったのでさみしい気持ちで帰宅します。
妻の元気な時を知っているので認知症になって可哀そうで、仕方がない。今後もできる限り面会を続け寄り添っていきます。

両親の介護に奮闘中岡山県・Dさん 男

私は遠方の両親のところへ月2回ほど雑用をしに行っています。父は立てず、歩けず、区分変更中(介護保険)。
母は要介護4の認知症。フルに介護保険のサービスを限度額一杯利用して日々何とか過ごせています。
来月には父はリハビリ目的で入院する予定ですが、母一人で家の生活には難しくショートステイの利用となりますが、父が入院予定の3ヵ月間、利用できるショートを探していますが、なかなか見つかりません。ロングショート利用は保険者も認めてくれにくいです。2人の少ない年金では、入院+ロングショート利用としても、子が多く負担しないとならない状態です。
父の入院中、母をどう生活させていくか思案中で、いい案が見つかっていない。ため息つきながら、いろいろな人々のアドバイスを聞きに回っています。

妻の母が百歳を迎えました群馬県・Eさん 男

特養に入所している妻の母が今月初め、無事百歳を迎えることができました。
幸い、面会制限はなくなり、事前申請で3人までの面会が可能になり、誕生日当日の面会を申請しました。妻の母は、7人きょうだいの2番目、母以外に唯一存命の一番下の妹が、日頃「死ぬまでに姉ちゃんに会いたい」と言っていると聞き、私たち夫婦と3人で会いに行きました。
最初、「百歳の誕生日の祝いに来た」と言っても、もう一つピンとこないようで、涙ぐみながら挨拶した妹をすぐには認識できなかったようでした。しかし、それとわかるや、後は二人手を取り合って涙にくれるばかりでした。「別に会ったからと言ってこれといった話があるわけじゃない。ただ会えただけでうれしいんだよ」と繰り返しながら。
最近の妻の母は、在宅時の、厳しかった姑への不満や、お金に関する被害妄想的な怒りは鳴りを潜めて、心穏やかに暮らしているようです。と言うより、事情を知っていて、訴えを聴いてくれる人が周囲にいない、と言うことなのかもしれません。でも、今の環境に対する不満の思いは感じられません。妻の母なりに納得できているようです。特養入所の選択は正解だったようです。妻の表情も穏やかです。
翻って、介護の混乱が続く中、急性心不全で急逝したわが母のことがふと思い出されました。
母ももう少し長生きし、より老いたなら、私も冷静に対応できるようになり、穏やかに振り返ってやれるような余生を母に送らせてやることができたのだろうか、などと考えてしまう自分がいます。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。