体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2023年12月号(521号)

ー お便り紹介 ー

バリアフリートイレでの出来事福島県・Cさん 女

今年、東北自動車道のあるサービスエリアのバリアフリートイレでの出来事です。入ってすぐにドンドンとトイレをノックされ“すみません”と声もかけられました。“使っています”と何度か繰り返しました。使いたい障がい者の方がいたのかな?と思い、認知症の夫を急がせてトイレを済ませましたが、外に出たら誰もいません。車に戻ろうとすると後ろで職員らしき方から、“あらっ、いない”と言う声がしました。NEXCO東日本に電話をして、“職員への認知症の理解を深めてください”とお願いしましたが、どう対処してくれたのかはわかりません。
あれではせっかくのバリアフリートイレで落ち着いて排泄ができなくなってしまいます。今までは高速道路のサービスエリアでそんな事を感じたことはなかったのですが、この件がきっかけで、介護中マークを必要な時にリュックサックにつけています。車椅子を使っていたり、杖を持っていたりすれば疑われなかったのかなと、認知症のバリアフリー、ノーマライゼーションが進んでいないことを痛感しました。

介護は疲れます福岡県・Dさん 女

初めて家族(夫)の認知症(アルツハイマー症)を体験し、以前恐れていた「人格破壊」がないことにほっとしています。知的な認知能力はほんとうに低下しましたが、気持ちは以前のように優しく温かく言葉でない笑顔や手をつなぐ等のコミュニケーションは増えました、とはいえ、介護は疲れます。

自分事について考えてみたい東京都・Eさん 女

実母(92歳)は、身体的にはさほど問題ないのですが(歩ける、食べられる、話し好き)、記憶力、理解力に関しては急に衰え、特にコロナ禍以降は認知症状の進行が加速しています。
それでも、プライドが高く、今、要介護になっていることを全く自覚しておらず、逆にそれを突き付けたら、落ち込んで引きこもってしまう恐れがあります。
デイサービス、とか、認知症という言葉を家族が極力使わないようにしているので、送迎付き老人クラブ、のつもりでデイサービスを週3回利用しており、それは助かっています。
92歳ですし、自然な衰えもあると思うので、主治医とも話し、いわゆる認知症の薬は飲まずに、見守っています。早期診断、早期治療が大切で有効なのは、もっと若い人で、ケースバイケースのような気がします。
では、今、介護中の私自身が認知症を発症したらどうするか(父は60代初めから若年性アルツハイマー病でした、遺伝的にはかなりの確率あり?)、考えたら不安でたまりません。当事者の声も含めて、この会でいろいろな方々の体験を知って、自分事について考えてみたいと思いました。

お手伝いできることがあれば富山県・Fさん 女

実母を介護しておりましたが今年7月に他界いたしました。現在、介護老人保健施設で看護師、施設ケアマネジャーをしています。二年前自分自身も脳出血を発症しました。現在ひとり暮らし、不安が多いため今後サポートをお願いする側になる可能性もあります。介護保険が開設された2000年に病院から老人保健施設に勤務を替え、認知症高齢者に深くかかわらせていただいております。
何かお手伝いできることがあれば、と思い今回入会させていただきたいと思います。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。