体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2024年4月号(525号)

ー お便り紹介 ー

春夏秋冬の冬のとき北関東・Bさん 女

ものわすれが出現してからケアのやり方や施設云々も最後まで解決できない問題がつきまといます。
母はホームで一生を終えると思っていましたが、体調が悪化して系列病院に入院、来るべき時が来たと覚悟しました。医師からは「中心静脈カテーテル」などの提案がありましたが、なんだか苦しそうに感じたので、同意しませんでした。食べられなくなったらそれが寿命です。その後病院の隣にある特養の枠が空いたので特養に入ることができました。そこでは看取りをお願いしました。人による介助がなければ生きていけません。専門医の予言どおり、およそ8年で寝たきりになってしまいました。
特養に移ってからは少しずつ口から食べるようになって「元気になってしまい」ました。変な表現ですが、高齢者にとって医療よりも介護が大切な場面もあることを認識しました。母の場合積極的な治療を行っていたら、もう亡くなっていたかも知れません。
一方で、ホームも含めて入所には毎月それなりの費用が必要で、資金の問題は解決できない問題です。特養で本人はどんなことを思いながら生きているんだろうと考えたり、葬式のやり方で意見が対立したり、相続はどうなるんだろうとか、そんなことで悩んでいる私がいます。

勉強したくて…東京都・Dさん 女

8年前までレビー体型認知症の実父を介護していました。実母86歳が物忘れが増え、家族としてはMCIではと思っています。
現在、わたしは認知症外来専門の病院で専門職についており、父の介護中から認知症について関心があり、年齢的にもフレイル子防や認知症と診断されても地域と共に生きるという選択を皆ができるようになり(当たり前に)何かできることがないかと考えています。いろいろな勉強させていただきたく、入会を希望いたしました。

妻への愛が一層深まりました愛知県・Fさん 男

妻は68歳で認知症と告知されて8年になりました。現在特別養護老人ホームで元気で穏やかに過ごしています。全面的な面会制限は今も続いており、週1回10分の面会を続けています。手を振りながら話しかけると、笑顔が出ます!その笑顔が何にも代え難い私への最高のプレゼントです!私も元気が出ます!
振り返れば、最初の頃は数々の症状に振り回されてイライラの毎日でした。抱え込んではいけないと、私は外部に救いを求めました。市の交  流会から始まり、更に家族支援プログラムを受講し、認知症カフェにつながり、多くの介護仲間に恵まれて、笑顔を忘れず寄り添ってこられ  ました。感謝です。認知症になって悪い事ばかりではありませんでした。介護を通して妻への『愛』が一層深まりました。その証として2人で歩んできた道のりを2冊の本にして出版し、貴重な財産になりました!妻には『よく頑張りました賞!』をさし上げたいと思います。

もっとやってあげられたかも群馬県・Gさん 男

昨年、夏に父が、秋に母が亡くなりました。2年という自宅と実家往復の、過ぎてしまえば短い遠距離介護でした。
1年半前に初めてつどいに参加させていただき、どうしてよいかわからない心の内を毎回とても丁寧に聴いていただきました。本当に感謝の  気持ちでいっぱいです。父が亡くなってからは、ほとんどの時間をロングショートで過ごすことになった母、もっと自宅で過ごしたかっただろうなと母の想いを振り返れるようになりました。
今になって理解できることもあり、後悔の気持ちはありませんが、もっとやってあげられたかもしれないと思えるようになりました。これからはこの経験を生かせるように過ごしていきたいです。本当にありがとうございました。

ー 私の介護体験談 ー

リフォームと災害時の備え鹿児島県支部

 

私の妻はアルツハイマー型の認知症で、発症してから間もなく12年目を迎えます。最初の症状が現れたのは52歳の春ごろでした。
今まで支部報に男性介護者の介護体験記として「認知症と診断されるまで」「介護という考え方」「介護サービス」「障害年金と障害者手帳」等について投稿しましたが今回は「リフォームと災害時の備え」について投稿したいと思います。

リフォームと身体の変化

自宅は2世帯住宅で、両親が1階、私たちが2階に住んでいました。母が亡くなって遺品整理が済むと、1階の二部屋が何もない状態になったので、5年計画でリフォームを始めました。なぜ5年計画かというと、一度にリフォームをすると家を離れることになり、妻が不安がるので徐々にした方が良いと考えたからです。車庫や外壁・屋根などの外回りから初めて、1階の和室に後々ベッドを置けるようにフローリングにしたり、台所や洗面所、浴室、トイレ、最後にほとんど使わなくなった2階の畳の入れ替えと壁紙の張り替えで終了するつもりでした。しかし、リフォームを始めたときは妻も私も身体は元気だったので、その状態に合わせたリフォームをしましたが、妻が歩くのが不自由になると小さな段差が障害となりました。また、私の腰が痛くなると台所のシンクの高さが合わず、腰に負担がかかるなどの支障が出てきました。リフォームをして間がないので、再びリフォームをするのも気が引けるので、段差解消のスロープをレンタルしたり、炊事の途中で休憩できるように台所に椅子を準備したりして工夫はしていました。しかし、これからも何かと支障が出てきそうな気がしますが時すでに遅しで、もう少し高齢者向けのリフォームをすべきだったと思っています。

災害時の避難の難しさ

自宅は市の災害マップでは、土砂災害警戒、洪水、浸水想定地域に入っていませんし、台風の時もあまり風が当たらないので、災害が予想されるときは基本的に自宅にいることにしています。大きな台風が直撃するとか地震で自宅が損壊するなど、どうしても避難をせざるを得ないときは妹の家かホテルに避難することにしています。
問題は想定外の水害が起こった場合、私一人では妻を連れて避難できないことです。特に夜寝ているとき浸水しても、妻を抱えて2階に垂直避難ができません。消防署などに相談しましたが、市の災害避難支援制度はあくまでもボランティアに依存するもので、自分で町内会や近所の方に相談してくださいという回答でした。一応、町内会の班長に相談はしましたが、わが家が浸水した場合、近所もすべて浸水しているので助けはあまり期待できない状況でした。そのことを防災アドバイザーに相談したところ、子ども用のボートや釣りのクーラーボックスを利用して2階に垂直避難するという方法もあるというアドバイスをいただき、早速、子ども用のボートを購入しました。
その他にも参考になるアドバイスがありましたので、皆さんも機会があれば防災アドバイザーなどの話を聞いておくと、いざという時の備えになると思います。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。