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画像診断の種類や役割
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画像診断の事例を紹介
概要
ー クリップ 1 ー
ここ10年ほどの間に、わが国の認知症医療は大きく進歩しました。脳の画像診断もそのひとつ。問診や心理テストと同様、正確に認知症を診断するためには欠かせない検査で、早期発見・早期治療にも大きく寄与しています。脳画像検査にはさまざまな機器があり、脳の形を見る「形態画像」と脳の働きを知るための「機能画像」の2つに分けられます。CTやMRIは形態画像で、脳の萎縮の程度や病変がどのくらいの範囲に及んでいるかなどを確認することができます。一方、SPECTやPETは、脳の血流を見ることで脳が働いているかどうかを判断する機能画像検査で、認知症の原因疾患によって働きが低下する部分に違いが見られるため、鑑別診断をするうえで有効な情報が得られます。また、新しい画像検査として注目されている「MIBG心筋シンチグラフィ」は、とくにレビー小体型認知症の診断に有効で、今後の活用が期待されています。画像診断の発達は喜ばしいことですが、やみくもに画像を撮影するのではなく、治療やケアにどう生かしていくのかなど目的を持って利用することが大切です。(08:03)
ー クリップ 2 ー
2つの事例を通して画像診断の意義を考えます。1例目は1年ほど前から体のあちこちが痛み出し、「死にたい」と訴えるようになった74歳・男性のケースです。老年期うつ病と診断されて抗うつ薬の服用を続けたものの一向に改善しないため、もの忘れ外来を受診しました。画像診断などの結果から、「レビー小体型認知症」であることが判明。レビー小体型認知症に効果のある薬の服用を続けたところ、元気を取り戻し、体の痛みもなくなりました。画像を用いたことによる正確な診断が、適切な治療につながった好事例です。
77歳の男性のケースでは、SPECT検査でアルツハイマー型初期とまったく同じ脳血流パターンを呈していたため、認知症予防介入への参加を呼びかけました。何の症状もでていない状態でしたが、本人は画像を見て納得。積極的に参加するようになり、2年経った今も認知症の発症は認められていません。画像診断の結果を踏まえた早期の認知症予防介入が奏効した事例と言えます。(05:23)
【2011年4月26日公開】