クリップ
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出演者のみなさん 認知症とのかかわり
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認知症の基礎知識 原因疾患
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認知症の診断 薬と効果
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4
BPSDと漢方薬 薬の相乗効果
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ケーススタディ(徘徊・もの盗られ妄想)
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地域との関わり 金沢からのメッセージ
概要
ー クリップ 1 出演者のみなさん 認知症とのかかわり ー
2014年7月、金沢文化センター(石川県金沢市)で認知症フォーラムが開催されました。
医療、介護、家族、行政の立場で認知症対策に取り組んでいる4名のパネリストが参加。自己紹介を兼ねて自身と認知症とのかかわりについて語りました。
地元で長年認知症患者を診察してきた精神科医の北村立さんは「認知症に対する理解が広がり、新薬も登場するなどだいぶ状況が変わってきた」と指摘。
畝和弘さんはケアに携わってきた経験から、本人の気持ちに寄り添ったケアの重要性を説明しました。
木津勇さんは認知症の妻を持つ家族として介護の現状を説明。能美市からは高齢者支援センター長の山下実千代さんが参加し、「高齢化が進む中で、認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けるためには連携が必要」と訴えました。(4:10)
ー クリップ 2 認知症の基礎知識 原因疾患 ー
精神科医の北村さんが、認知症を正しく理解し、早期発見につなげるための認知症基礎知識講座を担当。認知症の症状や特徴について説明しました。
もの忘れは加齢による自然現象でもありますが、「認知症によるもの忘れは、体験を丸ごと忘れる、それによって日常生活に支障をきたす」と北村さんは話します。さらにMRI画像を示しながら、認知症によって生じる脳の変化を解説。全体の半数を占めているアルツハイマー型認知症のほか、血管性認知症、レビー小体型認知症、脳前頭側頭型認知症など、認知症の原因疾患とその特徴を解説。
疾患ごとの症状の違いも詳しく説明しました。(4:38)
ー クリップ 3 認知症の診断 薬と効果 ー
問診や認知機能テスト、画像など、認知症の検査と診断の手順を説明。脳の血流を調べることで認知症の原因までわかる新しい画像診断SPECTも紹介しました。
認知症治療では2011年に新薬が加わり、現在は4種類の薬が使えるようになっています。副作用が比較的少ない貼り薬も登場し、治療の選択肢が広がりました。
薬で認知症を完全に治すことはできませんが、早い段階から適切な治療やケアを開始することで病気の進行が抑えられ、生活の質を維持できるようになっています。(4:41)
ー クリップ 4 BPSDと漢方薬 薬の相乗効果 ー
認知症の症状には中核症状のほかに、徘徊や暴力など「BPSD(行動心理症状)」があります。BPSDの現れ方には個人差があり、介護をする人は対応に苦慮することも少なくありません。
近年はBPSDの原因は、体の状態や薬物治療による副作用、不適切な療養環境やケアなどにあり、こうした要因を取り除くことで改善できることがわかってきました。さらに安全性の高い漢方薬でBPSDを治療するケースも増えています。
認知症によく使われる抑肝散は、イライラや不眠といった神経症状を鎮める効果が高い漢方薬です。副作用も少なく、高齢者も安心して服用できる薬として期待されています。(4:04)
ー クリップ 5 ケーススタディ(徘徊・もの盗られ妄想) ー
介護の現場には「パーソンセンタードケア」という考え方が導入されつつあります。
これまでは介護者側の都合を優先した一方的に与えるケアが中心でしたが、パーソンセンタードケアは、本人が何を思い、何を希望しているのか、本人の立場で考え、それに沿ったケアを提供していこうというもの。
よく見られる「徘徊」「もの盗られ妄想」の事例を通して、パーソンセンタードケアの考え方を説明。家族はどのように対応すればいいのか、畝さんや北村さんがアドバイスしました。(4:34)
ー クリップ 6 地域との関わり 金沢からのメッセージ ー
急速に高齢化が進む中で、誰もが認知症になる可能性があり、住み慣れた地域で暮らし続けるための方策が求められています。
フォーラムの最後に、パネリスト一人一人から将来に向けてメッセージが発信されました。
山下さんは、能美市で始まった地域ネットワークの取り組みを紹介。
北村さんは「メンバー同士がしっかりと結びついた活動が必要」と訴えました。さらにそれぞれの地域に合わせた対策の必要性も指摘。「石川県民のひとりひとりが、どのように亡くなりたいのか、真剣に考えて社会参加していくべき」と続けました。(5:15)
【2015年1月20日公開】
出演者
北村 立(きたむら・たつる)さん
石川県立高松病院 院長 精神科医
自治医科大学卒業。地域医療に従事後、1992年より高松病院に勤務。認知症になっても地域で暮らせる医療を介護と連携して実践している。
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畝 和弘(うね・かずひろ)さん
NPO法人 人材育成センター 理事長
高齢者・障害者福祉事業に取り組み、県内で複数の介護施設を経営。住み慣れた地域で暮らし続けることができる地域づくりを目指している。
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木津 勇(きづ・いさむ)さん
介護家族
2006年に妻がアルツハイマー型認知症と診断され、昨年には在宅介護の疲れから自身が倒れ入院。現在は妻が入居する施設に毎日顔を出している。
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山下 実千代(やました・みちよ)さん
能美市健康福祉部介護長寿課、高齢者支援センター長
石川県総合看護学院保健学科卒業。保健師として勤務後、高齢者支援センターに異動、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを展開中。
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