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地域まるごと健康フォーラム in 和歌山 認知症の人の思いから始めるまちづくり

概要

ー PART1 本人の思いを聴く ー

2017年11月5日、和歌山市民会館で「地域まるごと健康フォーラム in 和歌山 ~認知症の人の思いから始めるまちづくり~」が開催されました。
10年前に若年性アルツハイマー型認知症と診断された西川孝司さん(69)と妻のまり子さんも参加。孝司さんは、認知症の症状のために大好きな仕事を続けられなくなった悲しさや悔しさ、主治医の鵜飼聡医師との出会いなどについて話してくれました。
夫婦でさまざまなことを乗り越え、今は月に一度、認知症と診断された当事者同士が語り合う「ぴあサロン」に参加するのを楽しみにしているという西川さん。「認知症になってもできることはたくさんある」と、力強いメッセージを発信しました。(17:15)

ー PART2 西山さんの思いから始めたまちづくり 御坊市地域の取り組み ー

地域では、介護サービスではなく馴染みの人や場所とつないで、認知症の当事者と家族を支援しようという動きも活発になってきています。
一年前に認知症と診断された西山昭二郎さん(90)は長く御坊市に暮らし、地域の人や仕事仲間と良好な関係を築いてきました。
介護支援専門員の志水建一さんは、認知症になってから自宅にひきこもりがちになっている西山さんに「かつて西山さんがよく通っていた近所の喫茶店に連れていってほしい」と持ちかけます。
道すがら近所の高齢者にも一緒に行こうと声をかけながら、一年ぶりに店に向かう西山さん。お気に入りの席に座って友人たちとの会話やコーヒーを楽しみました。
認知症になっても西山さんの存在や地域の人たちとの関係は、変わることはありません。(15:33)

ー PART3 地域包括ケアを創る 有田川町 ー

地域をつなぐ役割として、2018年4月までに全自治体で「生活支援コーディネーター」を設置することが義務付けられました。
有田川町で生活支援コーディネーターを務めているのは、NPO法人「ひだまりの和」。スタッフは行政の福祉担当や民生委員の経験者で、地域包括支援センターと協力しながら活動しています。
その活動の一つが、有田川町の中でも高齢化率が高い境川地区での健康体操教室の推進です。
境川地区の健康体操教室は住民自身の発案で4年前から週一回開催され、健康維持や交流の場になっていますが、遠いなどの理由で会場まで来られない住民も少なくありません。
住民がひきこもりがちになるのを防ぐため、地域の神社などを借りて、ご近所で健康体操教室を開催しようとしているのです。地域の人々が高齢化を他人ごとではなく自分のこととして捉え、行政任せではなく自ら活動する動きが広まっています。(13:48)

【2018年7月20日公開】

出演者

伊東 秀文(いとう ひでふみ)さん

和歌山県立医科大学附属病院 副院長 認知症疾患医療センター長

1984年京都大学医学部卒業。1989年米国ニューヨーク市アルバート・アインシュタイン医科大学付属 モンテフィオーレ医学研究所 神経病理部門(平野 朝雄教授)リサーチフェロー。帰国後、関西医科大学や京都大学の講師を経て、2014年和歌山県立医科大学 神経内科学講座 教授に着任。今年4月より現職。認知症疾患医療センターとして地域に貢献出来る仕組み作りを模索したいと思っている。

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明嵜 太一(あきさき たいち)さん

あきさきクリニック院長

1999年金沢大学医学部卒業。その後、神戸大学大学院医学研究科に入り、同大学医学部付属病院の老年内科に勤務。特に高齢者に多いとされる認知症をはじめ、高血圧や糖尿病などの予防・治療に力を注いできた。三木市立三木市民病院の老年内科医長として臨床にあたり、2013年から和歌山市内であきさきクリニックを開設。現在に至る。外来だけでなく訪問診療なども行い、地域のなかで認知症の人や家族の暮らしのサポートを続けている。

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西川 孝司(にしかわ こうじ)さん

当事者

59歳で「若年性アルツハイマー型認知症」と診断される。診断前は、うつ症状や場所がわからなくなるなどの見当識障害に悩まされ、大きな不安を抱えていたが、「認知症は病気ではない。サポートさえあれば何でもできる」という医師の言葉に背中を押され、地域で自分らしく暮らすために「認知症」であることを地域に開示。10年経った今も地域のサポートを受けながら、認知症と前向きに向き合い続けている。

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西川 まり子(にしかわ まりこ)さん

孝司さん 妻

林 千惠子(はやし ちえこ)さん

一般社団法人和歌山県認知症支援協会 代表理事

認知症の姑と関わり共に暮らした経験から2005年にNPOを設立し、2011年一般社団法人に移行。当事者や家族の相談支援をおこなう中で、近年は協会事務局を若年性認知症の人の居場所として開放している。当事者の声を汲み取り『今その人に必要な関わり』を大切に、支援を継続していきたいと考えている。

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志水 建一(しみず けんいち)さん

医療法人裕紫会 居宅介護支援事業所中紀、御坊市在宅介護支援センター藤田 管理者、介護支援専門員

「本人の心に寄り添う」というごく当たり前の考え方を中心に「どんな状態になっても一人一人が活躍できる主体である」ことを大切にしたケアマネジメントを展開。本人から始める関わりを、本人を取り巻く環境にどのようにアクションを起こし、繋げていくことを啓発中。社会福祉士。

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辻合 竜也(つじあい たつや)さん

有田川町役場 長寿支援課 地域包括支援センター主任、認知症地域支援推進員

特別養護老人ホームや在宅での相談支援業務に従事した経験を生かし、行政の立場として何を行うべきかを常に考えながら、関係機関との連携を図っている。また、認知症だった父親の介護の反省を踏まえ、認知症のご本人や家族の支援を中心に、地域共生社会の実現を目指し、誰もが安心して暮らせる地域づくりを目指している。社会福祉士。

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町永 俊雄(まちなが としお)さん

福祉ジャーナリスト

1971年NHK入局。「おはようジャーナル」キャスターとして教育、健康、福祉といった生活に関わる情報番組を担当。2004年からは「福祉ネットワーク」キャスターとして、うつ、認知症、自殺対策などの現代の福祉をテーマに、共生社会の在り方をめぐり各地でシンポジウムを開催。現在は、フリーの福祉ジャーナリストとして活動を続けている。

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