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認知症フォーラム熊本会場

概要

ー クリップ 1 出演者のみなさん 認知症とのかかわり ー

専門医として認知症医療を牽引してきた池田学さんが、認知症の診断や治療の現状について報告。根治できるタイプの認知症が発見されたり、薬で進行を抑えられるようになってきていることなどを伝えました。介護にたずさわってきた高橋恵子さんは、医療だけでなくケアも変化していることを指摘。「一昔前は症状を押さえつけるケアをしていましたが、今は本人の気持ちに沿ったケアをするようになってきています」と話しました。また、若年性認知症の夫を介護している宮崎記代子さんは「介護する側にも愚痴や悩みを言い合い、情報を交換する場が必要」と訴えました。

ー クリップ 2 認知症の基礎情報 認知症の原因 ー

「もの忘れ」は認知症の代表的な症状ですが、加齢とともにもの忘れがでてくることも多いものです。記憶のごく一部がかけるのは心配ありませんが、全体がスポッと抜け落ちる場合は認知症の疑いがあります。「お金の計算ができなくなる」「慣れた道で迷ってわからなくなる」というように、日常生活に支障が出てくることも認知症の大きな特徴と言えるでしょう。また、認知症の原因はさまざまで、現れやすい症状にも違いがあります。「いつもと違う」と気づいたら専門医に相談し、早期発見・治療の機会を逃さないようにすることが大切です。

ー クリップ 3 認知症の診断 画像診断と治療薬 ー

認知症かどうかを診断するためには、本人の問診および家族からの聞き取り、MMSEや長谷川式スケールなどの認知機能テスト、画像検査が行われます。近年は画像診断が大きく進歩し、正確な診断ができるようになりました。会場では、MRIの実際の画像を使いながら、正常な脳と認知症になった人の脳の違いを説明。認知症かどうかだけでなく、認知症の原因までわかるようになっています。

ー クリップ 4 周辺症状への対処 ケーススタディで考える ー

会場では、認知症の症状の中でもよく見られる「もの盗られ妄想」や「徘徊」を取り上げ、ケアのあり方を考えました。「介護をしている家族が本人の思いを理解することが大事」と高橋さん。池田さんは「もの盗られ妄想も、徘徊も意味なくやっているわけではなく、ご本人なりの理由がある。介護している家族が対応していくのは大変ですが、医療者や介護のプロなどから適切なアドバイスを得られることも多いはず。家族だけで苦しむのではなく、積極的に周囲を巻き込んで相談してください」とアドバイスしてくれました。

ー クリップ 5 認知症の先進地“熊本” 地域での取り組み ー

熊本県では県内8箇所の病院を認知症疾患医療センターとして指定。早期発見・治療へつなげる「熊本モデル」を提唱しています。診療体制を整備するだけでなく家族の会に委託してコールセンターをつくり、認知症の疑いのある人を受診につなげようとしている点も熊本モデルの特徴といえます。一方、地域住民の間でごく自然に支援ネットワークができあがった、上益城郡六谷地区を紹介。支援マップをつくり、もともとあった地域の助け合いをもう一度あらためて確認、住民全員に共有してもらう活動に取り組んでいます。

ー クリップ 6 家族の想い 熊本からのメッセージ ー

夫の修さんを介護してきた宮崎さんは「介護する側の自分にもさまざまな無理がかかっていたことに当時は気づいていませんでした。いろいろな人に助けられて生きている今が幸せだと感じます」と振り返りました。「地域の中で生きることを支えたい」と願う高橋さんは「できるだけ周りの情報に耳を傾けて」というアドバイスとともに「人間は『助けて』とはなかなか言いにくいもの。でも助けを求める勇気を持ってほしい」とメッセージを送りました。池田さんは「早期に正確な診断ができれば、長期の医療や介護の計画を立てていける。はじめが大事なんです」と話しました。

出演者

山内 勇人(やまうち・はやと)さん

池田 学さん

熊本大学大学院 生命科学研究部 脳機能病態学分野(神経精神科)教授

山内 勇人(やまうち・はやと)さん

大阪大学医学部卒業。同大学神経科精神科にて研修後、博士号取得。認知症患者の診療と臨床研究に従事した後、ケンブリッジ大学神経科に留学。2007年より現職。

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工藤 美奈子(くどう・みなこ)さん

高橋 恵子さん

グループホーム せせらぎ 代表

工藤 美奈子(くどう・みなこ)さん

熊本労災看護専門学校卒業後、脳外科・リハビリ科病棟や老人病棟勤務。その後、介護支援専門員となり、2000年に有限会社せせらぎを開設。地域で認知症を支える活動に参加。

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黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

宮崎 記代子さん

天草認知症家族の会 代表

黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

熊本県天草市生まれ。各地の病院、診療所で看護師として勤務。2002年に夫が若年性アルツハイマー病と診断され、自らの介護経験から「天草認知症家族の会」を発足。

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