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認知症フォーラム高松会場

概要

ー クリップ 1 出演者のみなさん 認知症とのかかわり ー

2012年5月、香川県高松市で認知症フォーラムが開催されました。フォーラムの冒頭、認知症対策の第一線で活躍する3人のパネリストたちが、自己紹介を兼ねて自身と認知症とのかかわりについて語りました。認知症専門医の大塚智丈さんは、認知症の現状について「医療だけでなくケアや生活環境を整備することによって、対応可能な病気になってきている」と説明します。介護に携わってきた高市佳英さんも「認知症になっても、その人の感性やその人らしさが消えることはない」と話しました。若年性認知症の妻を8年間介護してきた森寛昭さんは、自らの経験を紹介しながら、地域の人とつながることの大切さを語ってくれました。

ー クリップ 2 認知症の基礎知識 原因疾患 ー

認知症を早期発見には、日ごろからその症状や特徴を正しく理解しておくことが欠かせません。もの忘れは最も気づきやすい症状のひとつ。認知症のもの忘れは、年のせいによる自然なもの忘れとは違い、体験を丸ごと忘れてしまうといった特徴があります。認知症によって生じる脳の変化についても、MRIの画像を示しながら解説。また、アルツハイマー型や脳血管性、レビー小体型など、認知症の原因疾患とその特徴を説明し、疾患ごとに現れやすい症状が違うことも紹介しました。 

ー クリップ 3 認知症の診断と治療 ー

問診や認知機能テスト、画像など、認知症の検査と診断の手順を説明。認知症治療の核になる薬物治療の最新情報を紹介しました。治療薬は2011年に新しい薬が認可され、現在は4種類の薬が使えるようになっています。副作用が出た場合は薬を別のものに変えるなど、治療の選択肢が増えました。薬で認知症を完全に治すことはできませんが、早い段階から適切な治療やケアを開始することで病気の進行を抑えられるようになっています。さらに「感情表現が豊かになる」「意思表示がはっきりする」「自発性や周囲への関心が高まる」といった効果が期待でき、長い期間安定した状態を保つことが可能になりました。その人らしい生活を実現するためのサポーターになっています。 

ー クリップ 4 認知症の症状 BPSD ー

認知症の症状は中核症状とBPSD(周辺症状)があります。介護者が対応に苦慮しがちなBPSDですが、体の状態や薬物治療による副作用などさまざまな要因が引き金となって現れることがわかってきました。BPSDを改善するには、こうした要因を取り除くことが基本になります。また近年は、安全性の高い漢方薬を利用して治療するケースも増えてきました。とりわけイライラや不眠といった神経症状を鎮める効果が高い抑肝散は、高齢者に活用できる漢方薬として期待されています。 

ー クリップ 5 パーソンセンタード・ケア ケーススタディ ー

介護の現場には「パーソンセンタードケア」という考え方が導入されつつあります。パーソンセンタードケアは、何を思い、何を希望しているのか、本人の立場に立って考え、それに沿ったケアを提供していこうというもの。フォーラムでは「徘徊」「もの盗られ妄想」の2つの事例を通して、パーソンセンタードケアを説明しました。高市さんは「行動には本人なりの理由がある。それが何なのか考えた上で、適切な対応をしてほしい。叱るのではなく、笑顔で対応することもいい結果につながる」とアドバイス。森さんは、妻のBPSDに上手に対応できなかった失敗談を話してくれました。また、認知症ケアのポイントを6項目にまとめ、紹介しました。 

ー クリップ 6 笑顔で介護するために 高松からのメッセージ ー

認知症の介護では、本人だけでなく家族も笑顔で過ごせるようにサポートしていくことが大事です。森さんは「たとえ施設に預けることになっても一緒に生活したい。そんな生活が実現できる制度ができれば」と期待しています。「認知症を少しずつ受け入れ、向き合っていくことがその人らしい生活につながっていくと思う」と高市さん。「介護職はパートナーとして生活をサポートしていきたい」と述べました。森さんは医療者の立場から「病気を治すことはできなくても,苦しみを和らげるためにできることはいくらでもあると感じている」と話しました。 

出演者

大塚 智丈(おおつか・ともたけ)さん

大塚 智丈(おおつか・ともたけ)さん

三豊市立西香川病院 副院長

大塚 智丈(おおつか・ともたけ)さん

徳島大学医学部卒。いくつかの病院を経て2005年より現職。2011年より認知症疾患医療センター長兼務。日本精神神経学会専門医。

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高市 佳英(たかいち・よしひで)さん

高市 佳英(たかいち・よしひで)さん

社会福祉法人 守里会 ショートステイセンター季 施設長

高市 佳英(たかいち・よしひで)さん

高松市出身。2006年に守里会就職、今年より現職。認知症の人の意志や力を引き出せる環境作りを目指す。介護福祉士・介護支援専門員。

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森 寛昭(もり・ひろあき)さん

森 寛昭(もり・ひろあき)さん

森 寛昭(もり・ひろあき)さん

2005年、妻がアルツハイマー型認知症と診断される。2008年、介護に専念するため勤務先を退職し、現在も在宅介護を続けている。

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