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認知症フォーラム秋田会場

概要

ー クリップ 1 出演者のみなさん 認知症とのかかわり ー

2014年6月、秋田市文化会館で認知症フォーラムが開催されました。
地元で医療、介護、家族、行政の立場で認知症対策に取り組んでいる4名のパネリストが参加。認知症とのかかわりや活動について語りました。

長年認知症患者を診察してきた秋田県立脳血管研究センターの長田乾さんは認知症治療の現状について「使用できる治療薬が増えた。予防にも期待が持てるようになっている」と指摘。
認知症専門のデイサービスの事業所を立ち上げてケアにたずさわってきた菅原聡さんは「認知症になっても人生の大先輩として、尊厳を持ってケアすることが重要」と訴えます。
下総大さんは若年性認知症の妻を介護する家族の立場で参加し、自身の体験を伝えました。
また、地域支援を実践している湯沢市社会福祉協議会の赤平一夫さんは、活動内容を紹介しました。(3:52)

ー クリップ 2 認知症の基礎知識 認知症のタイプ ー

認知症専門医の長田さんが、認知症を正しく理解し、早期発見につなげるための認知症基礎知識講座を担当。認知症の症状や特徴について説明しました。

もの忘れは年を取ればよくあること。
「一部を忘れるだけなら心配ありませんが、認知症によるもの忘れは体験を丸ごと忘れてしまいます」と長田さんは話します。
MRI画像を示しながら、認知症によって生じる脳の変化を解説。
全体の半数を占めているアルツハイマー型認知症のほか、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、さまざまな認知症の原因疾患とその特徴を解説。疾患ごとの症状の違いも詳しく説明しました。(4:55)

ー クリップ 3 認知症の診断と治療 医療とケアによる相乗効果 ー

長田さんが、問診や認知機能テスト、画像など認知症の検査と診断の手順について説明。
脳の血流を調べることで認知症の原因までわかる新しい画像診断SPECTも紹介しました。

薬物療法では2011年に新薬が加わり、現在は4種類の薬が認可されています。
薬で認知症を完全に治すことはできませんが、病気の進行を抑え、生活の質を維持する効果が期待できます。副作用が比較的少ない貼り薬も登場し、治療の選択肢が広がりました。
それぞれの薬の効果とともに、併用できる組み合わせ、注意すべき副作用などについても詳しく説明しました。(5:29)

ー クリップ 4 認知症の症状 BPSDへの対処 ー

認知症の症状には中核症状のほかに、徘徊や暴力など「BPSD(行動心理症状)」があります。
BPSDの現れ方には個人差があり、介護をする人は対応に苦慮することも少なくありません。近年はBPSDの原因は、体の状態や薬物治療による副作用、不適切な療養環境やケアなどにあり、こうした要因を取り除くことで改善できることがわかってきました。

さらに安全性の高い漢方薬でBPSDを治療するケースも増えています。
認知症によく使われる抑肝散は、イライラや不眠といった神経症状を鎮める効果が高い漢方薬です。副作用も少なく、高齢者も安心して服用できる薬として期待されています。(5:17)

ー クリップ 5 本人の思いを探る パーソンセンタード ケア ー

介護の現場には「パーソンセンタードケア」という考え方が導入されつつあります。
これまでは介護者側からの一方的なケアが中心でしたが、パーソンセンタードケアは、本人が何を思い何を希望しているのか、本人の立場で考えてそれに沿ったケアを提供していこうというもの。
よく見られる「もの盗られ妄想」と「徘徊」の事例を通して、パーソンセンタードケアの考え方を説明。菅原さんと長田さんがアドバイスしました。(4:20)

ー クリップ 6 認知症の人を地域で支える 秋田からのメッセージ ー

急速に高齢化が進む中で、誰もが認知症になる可能性があり、住み慣れた地域で暮らし続けるための方策が求められています。
赤平さんは、要支援者マップの作成や法人後見制度など、湯沢市社会福祉協議会が取り組んでいる活動を紹介しました。
フォーラムの最後には、パネリストたちから将来に向けてメッセージを発信。
下総さんは「患者や家族が戸惑うことのないようなわかりすい相談窓口を」と提案。
一方、菅原さんは「医療や介護、地域、行政が協力し、認知症になる前の段階から高齢者の状況を把握しておくことが必要」と話し、元気なうちからの地域連携を提言しました。(4:55)

【2015年1月20日公開】

出演者

長田 乾(ながた・けん)さん

長田 乾(ながた・けん)さん

秋田県立脳血管研究センター神経内科学研究部 部長

長田 乾(ながた・けん)さん

弘前大学医学部卒業。美原記念病院、コロラド大学を経て現在に至る。アルツハイマー病や血管性認知症の臨床研究、診療に携わっている。

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菅原 聡(すがわら・さとし)さん

菅原 聡(すがわら・さとし)さん

株式会社West 認知症対応型通所介護事業所 DCサービス結 代表取締役・施設長

菅原 聡(すがわら・さとし)さん

30歳で介護の世界に入り、介護老人保健施設で14年間勤務。2008年に大館市で初の認知症対応型通所介護事業所を立ち上げた。

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下総 大(しもふさ・ひろし)さん

下総 大(しもふさ・ひろし)さん

若年性認知症サロン つぼみの会 -本人と家族とサポーターの集い-

下総 大(しもふさ・ひろし)さん

2007年頃から妻が体調不良を訴え、2010年に「若年性認知症」と診断を受ける。現在は公的支援を受け、働きながら妻を在宅介護中。

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赤平 一夫(あかひら・かずお)さん

赤平 一夫(あかひら・かずお)さん

社会福祉法人 湯沢市社会福祉協議会 地域福祉課 課長、総合相談室長

赤平 一夫(あかひら・かずお)さん

民間企業から社会福祉協議会に転職。地域住民と関係機関とのネットワーク強化を図り、福祉課題の支援体制を構築している。

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