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石川県発オンラインフォーラム 超高齢社会を生きる ~コロナ禍で考える 認知症とともにあるまち~

概要

ー その1 パネラーの紹介・現状 ー

2020年11月7日、オンラインによるライブ配信で石川県発オンラインフォーラム 「超高齢社会を生きる 〜コロナ禍で考える 認知症とともにあるまち〜」が開催されました。
新型コロナ感染症の終息が見えない中で、認知症の当事者や家族は大きな不安を感じています。そこでフォーラムでは、パネルディスカッションを実施。
パネリストは、かがやき在宅診療所院長の野口晃医師、NPO法人ニット理事長の加納央さん、特別養護老人ホーム施設長の端久美さん、小松市長寿介護課の角地孝洋さん、若年性認知症の人と家族と寄り添いつむぐ会・副代表の道岸奈緒美さんです。
パネリストの皆さんと、医療、介護、行政、家族といったそれぞれの立場から、今後どのような支えあいが必要になっていくのか、県内で行われているさまざまな取り組みも紹介しながら語り合いました。(7:20)

ー その2 オンラインの活用でつながりをつなぎなおす ー

認知症の当事者や家族にとって同じ立場の人と思いを語り合う集まりは、心のよりどころともいえるもの。しかし、コロナ禍では感染を拡大させないよう、集まることができない日々が続いています。
パネルディスカッションでは、若年性認知症の当事者を中心にした集まり「みんなのHaunt」の事例を動画で紹介。
定例会の会場に来ることができない人のためにインターネットを活用し、リモートで集まりに参加できるようにするなど、つながりを切らさないように工夫を重ねています。
しかし自宅にいながらにして気軽に会話を楽しめる一方で、当事者は誰に話しかけているのかわからず混乱してしまうなど、さまざまな課題も。
オンラインで自然に分かり合えるにはどのような環境を整えるべきなのか、パネリストたちが知恵を出し合いました。(6:39)

ー その3 暮らしを支える医療とケア ー

社会的なつながりが減ると、フレイル(身体機能や認知機能の低下)が進行しやすくなるといわれます。
地域で数多くの認知症の患者さんを診療している野口医師は「外に出たり人と接したりできない状況が短期間であれば、機能低下は一時的で回復が期待できるが、現在はコロナ禍がすでに半年以上続き、フレイルが進行するケースが増えている」と指摘。
進行を防ぐには、在宅医療による声掛けや薬の調整のほか、生活環境を整えるなど医療や介護の専門職によるサポートが不可欠だと説明します。
加納さんや端さんは、運営する施設で実施しているフレイル予防のためのさまざまな取り組みを紹介。制約のある環境下で機能の維持を図るためのポイントや工夫を伝えました。(6:29)

ー その4 悩み深いケアの役割と覚悟 ー

高齢者が利用する施設では、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなって利用者とのかかわり方を変えざるを得ない状況が生まれています。
デイサービスを提供する「ゆいま~る」もその一つ。以前ならみんなで集まっておしゃべりをしながら食事をしていましたが、今は感染予防のために部屋や時間を分けるなど距離を取り、食事中の会話も控えています。
「会話があって役割があって居場所があるから利用者は楽しいと感じられる」と運営者の加納さん。
こまめな消毒や換気などスタッフの負担も増え、実践してきたケアもできなくなりました。
利用者の命と尊厳、生活を守るために感染予防とケアをどう両立させるか、介護にかかわる人たちの模索が続いています。(8:20)

ー その5 コロナ禍でもできることを探そう 登壇者からのメッセージ ー

フォーラムの最後、パネリストたちが視聴者に向けてメッセージを発信。
野口医師は「コロナ禍がきっかけで、日常の中で大事なことが再認識できた。新しい価値観を作っていくチャンスだと思う」と、前向きに進む大切さを語りました。
加納さんは「認知症の方にしろ、施設にしろ、地域に受け止めてもらうのは簡単なことではない。それでも『私たちはそこでずっとそばにいるよ』と寄り添いたい」と話します。
端さんは「我々の施設でも、ウィズコロナの新しい生活様式が、当たり前の生活様式になりつつある。施設の中だけでなく地域に還元していくことが大事」と指摘。
道岸さんは「限られた空間で生活している方が数多くいらっしゃる。日常を少しでも豊かにするためにオンラインやはがき、電話などを活用してつながりを維持していきたい」と話しました。(9:14)

出演者

野口 晃(のぐち こう)さん

かがやき在宅診療所 院長

埼玉県出身。1994年金沢大学医学部卒業、金沢大学第一内科入局。消化器内科医として病院勤務しながら、2011年より在宅医療に関わり始める。2017年より本格的に在宅医療に従事し、現在かがやき在宅診療所院長として金沢市を中心に認知症、神経難病、がん患者さん等の在宅診療をおこなっている。ご自宅が療養場所の選択肢のひとつになればとの思いで日々診療している。趣味:聞き書き。

加納 央(かのう ひさし)さん

NPO法人ニット 理事長、認知症対応型通所介護デイサービスゆいま~る戸水 管理者

千葉県生まれ。大学入学を機に金沢に移り住み、1989年より精神科病院、介護老人保健施設で看護師として働く。その後3か所の認知症対応型グループホームで管理者を務め、2006年には石川県で初めての小規模多機能型居宅介護で立ち上げに携わり、管理者となる。2008年6月認知症をかかえた方たちの生活のサポートを目指し、NPO法人ニットを設立。理事長に就任。現在、居宅介護支援事業所1か所および認知症対応型通所介護事業所3か所を運営。また認知症対応型通所介護デイサービスゆいま~る戸水の管理者としても勤務している。

角地 孝洋(かくち たかひろ)さん

小松市長寿介護課 主幹

2002年千葉大学看護学部を卒業し、保健師として小松市に入庁。2011年東日本大震災の被災地支援を経て、「保健師とは?」について考えるようになり、市役所に勤務しながら2012年石川県立看護大学大学院に入学。卒業後は、業務外で地域の住民や専門職と関わることが増え、その中で、「地域とつながり、地域をつくる」楽しさと大切さを知り、現在も地域に助けられながら地域包括ケアの推進に携わっている。

端 久美(はな くみ)さん

社会福祉法人特別養護老人ホーム福寿園 常務理事(兼)施設長、一般社団法人石川県介護福祉士会 会長

石川県穴水町生まれ。金沢市内の短大を卒業後、1983年に介護職員として福寿園に勤務。主任生活相談員、業務部長などを経て2009年より現職。一般社団法人石川県介護福祉士会会長として介護福祉士の資質の向上を願い取り組んでいる。また、自立支援介護を軸に、介護のプロ集団を目指したケアを実践。家族と地域のかけ橋になるような活動をおこなっている。

道岸 奈緒美(みちぎし なおみ)さん

若年性認知症の人と家族と寄り添いつむぐ会 副代表、国家公務員共済組合連合会北陸病院 患者支援センター副センター長

金沢市生まれ。東北福祉大学を卒業し、精神保健福祉士として複数の病院に勤務。2003年から国家公務員共済組合連合会北陸病院で社会福祉士として働き、現在は同病院の患者支援センターの副センター長。15年に「若年性認知症の人と家族と寄り添いつむぐ会」を立ち上げ、副代表を務めている。

町永 俊雄(まちなが としお)さん

福祉ジャーナリスト

1971年NHK入局。「おはようジャーナル」キャスターとして教育、健康、福祉といった生活に関わる情報番組を担当。2004年からは「福祉ネットワーク」キャスターとして、うつ、認知症、自殺対策などの現代の福祉をテーマに、共生社会の在り方をめぐり各地でシンポジウムを開催。現在は、フリーの福祉ジャーナリストとして活動を続けている。

【2021年1月7日公開】

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