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とことん語ろう認知症〜本人、家族、地域の本音トーク全開!〜

概要

ー その1 本人編 ー

2018年10月28日、認知症の人と家族への援助をすすめることを目的とした「第34回全国研究集会」(認知症の人と家族の会主催)が福井市で開催されました。
特別対談には、若年性認知症当事者として各地で公演活動を行っている丹野智文さんのほか、認知症当事者の曽根勝一道さんと堀江将尊さんが参加。認知症と診断されてからの思いや打ち明けづらい本音を語り合いました。
その会話からは、家族や周囲の人たちも認知症の人の力になりたいと思いながら方法がわからずにとまどった様子が伝わってきます。
「つらい思いも経験したけれど『認知症になっても楽しいことがあるよ』と言ってくれる人がいたから、いろいろなことをここまでできるようになった」と曽根勝さん。
堀江さんも「一人は嫌、人と喋っているのが一番楽しい」と話します。 周囲は認知症の人をどう支えていくべきなのか、たくさんのヒントが詰まったトークが展開されました。(11:50)

ー その2 家族編 ー

特別対談では認知症当事者に引き続いて家族が参加し、本音トークが交わされました。
「介護する立場になったときの接し方」は、多くの家族が抱える課題です。
認知症と診断された母親を介護している渡辺厚子さんは、弱い立場の母親に対して気づかないうちに支配的になっていったのだそうです。 「母が指示通りにやってくれなかったときに『やろうと思うんだけどできないんだ』と話すのを聞いて、母親のつらさを初めて知りました」と振り返ります。
濱崎久夫さんは認知症の母親を守ってあげようという気持ちが先走り、イライラを爆発させてしまった経験があります。「家族が本人の言葉を十分に聞かないまま行動すると摩擦が生じかねません。家族だけで抱え込もうとせず、外部に助けを求めることも必要です」と語りかけました。
認知症当事者の坂井裕子さんは、介護をしている夫の正明さんとともに参加。介護する側、される側ではなく、お互いに言いたいことを言い合う対等な関係を築いています。ほほえましい二人の様子に、会場からは温かい拍手が送られました。(9:39)

ー その3 地域編 ー

特別対談の後半では、認知症の当事者や家族を支える地域の人たちも加わってトークを展開。
医師の貴志英生さんは「認知症を治癒させるのは難しい。医療や介護、福祉が連携するだけでなく、地域全体で認知症の人とともに暮らしていく方法を考えなければ、多くの課題は解決しない」と指摘しました。
「どう支えていけばいいのかわからない人も多いのでは」という問いかけに対し、「認知症にやさしいまちを作る実行委員会」の活動に力を入れている社会福祉協議会会長の中谷勝治さんは、「認知症の方やご家族の思いに近づこうと努力することが大事」と回答。
福井県長寿福祉課の境勝利さんは「一人一人が認知症の正しい知識を持ち理解者になることがサポートの第一歩」と話し、「認知症を理解することは地域のためだけでなく、将来自分自身のためにもなる。地域のこれからを自分の問題として考えることが、支え合いにつながります」とメッセージを送りました。(8:27)

ー その4 自分事として考える ー

特別対談の最後は「認知症の人と家族の会」副代表理事の花俣ふみ代さんと、厚生労働省の認知症施策推進室長の田中規倫さんも加わり、活発に意見が交わされました。
花俣さんは「誰もが『支えられる側』になる可能性があるのに、みんな『支える側』の立場で対策を考えようとする。当事者の立場で考えてほしい」と指摘。
田中さんも「若い頃から認知症を自分のこととして考えられる人を増やしていく必要がある」と述べました。
一方、認知症当事者の丹野智文さんは「今、友人や家族といい関係でなかったら認知症になっても支えてもらえない。『今』の一日一日を大切にしましょう」と参加者に語りかけます。
当事者家族の濱崎久夫さんは「社会で働いているときは『弱音を吐いちゃいけない』という意識が求められるが、その意識で介護を始めれば追い詰められてしまう。介護者自身が意識を崩し、周囲や地域と新しい関係を築いていくことが大事」と強調しました。(11:44)

【2019年2月22日公開】