平均6~7年というデータはありますが、個人差が大きいです
認知症介護をする家族が抱える辛さの一つに「先が見えないこと」が挙げられます。
現在のところ、圧倒的に患者数の多いアルツハイマー病など大半の認知症は、ある程度進行を遅らせることはできても、治すことはできません。
家族は「認知症でも少しでも長生きしてほしい」という思いで介護に取り組んでいても、症状のコントロールができていたとしても、長い期間続けば心身ともにストレスがたまり、「いったいいつまで介護が続くのだろう」と考えてしまうのはごく自然なことです。
あるいは「長い期間介護をしなければならないなら、とても自宅で看るのは無理だ」と考える人もいるでしょう。
認知症が進行していくスピードは、認知症のタイプや年齢などによって個人差が大きいもの。公益社団法人「認知症の人と家族の会」の調査では、認知症の介護年数は平均で6〜7年となっています。10年以上という人も3人に1人強ですから、介護する側は初めから長期戦になることを想定して準備を進める必要があります。
そこで、介護する家族は、孤立しないようにすることが大切です。
介護の負担を一人で背負い込まないように、関係者で少しずつ分業すること。グチを聞いてくれたり、認知症の人に代わってねぎらいの言葉をかけてくれたりする友人を確保しましょう。
自宅で介護する場合は、デイサービスの介護保険サービスを上手に使って、息抜きの時間を意識的に作り、自らリフレッシュするように心がけてください。
また全国各地の、認知症介護を経験した人たちで作る「認知症の人と家族の会」では、電話相談に応じたり、集まりを開催したりしています。最近は、認知症カフェなど、介護家族が交流する場も増えています。同じ境遇の人同士でおしゃべりをするだけで、気持ちが楽になることもあります。
各地域の地域包括支援センターではこうしたさまざまな支援の情報が得られるだけでなく、相談も受け付けています。
行政、医療、介護、経験者、地域の人などに、積極的に助けを求めてください。
また「どうしても最期まで自宅で看なければ」と思い詰めると、介護家族が壊れてしまいがちです。「やはり自宅で看るのは難しい」と思ったら、施設への入居も考えてみましょう。