失敗を咎めたり、不安になるような言動は避けて
認知症になると、どこかに大事なものを置き忘れてきたり、お風呂の水を出しっぱなしにしたりするなど、さまざまな失敗が増えてきます。家族は責めたり、叱ったりしてしまいがちですが、実際にはできていなくても、自分ではちゃんとできているつもり、という場合が少なくありません。認知症の人にとっては、「なんで文句ばかり言うんだろう」と納得できず、混乱してしまいます。
本人は失敗しないようにしていてもどうにもならないので、申し訳なく感じている場合もあります。「気にしなくても大丈夫ですよ」とやさしく声をかけてあげてください。
「ダメ」「やめて」といった相手を否定するような言動を避けることも大事です。
大きな声で怒鳴ったり、騒がしくしたりしていると、認知症の人の不安感が高まってしまいます。認知症の人はなぜ怒鳴り声がするのか、なぜ騒がしいのか、その理由がわからず、もしかしたら自分が原因なのかと不安になるのです。静かな環境を整えることが、認知症の人の気持ちを落ち着かせるのに役立ちます。
また、認知症の人にとって環境の変化も大きなストレスになります。昔からなじんだ場所で、昔から見知った人や物に囲まれて暮らすほうが落ち着くのです。できることなら転居などで環境が変わるのを避け、住み慣れた地域の顔見知りの人たちのなかで暮らせるように配慮しましょう。