認知症の基礎知識
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認知症の人の気持ちとは?

さまざまな不安やつらさを感じています。認知症の人の思いに寄り添いましょう

周囲は認知症の人に対して「認知症になると何もわからなくなる」「徘徊や妄想、興奮など不可解な行動を起こす面倒な人」などと決めつけてしまいがちです。しかし実際は何もわからなくなるわけではなく、感情があり、自らの変化にとまどい、不安を感じています。

認知症の中でも多くを占めるアルツハイマー病などの初期から中期にかけて、もの忘れ(記憶障害)の症状が顕著に現れます。認知症になっていなくてもある程度の年齢になれば、もの忘れをすることが増えますが、認知症の人のもの忘れは日常生活の中で頻繁に起こるため、本人は混乱します。またもの忘れをした自覚がないのに周囲から指摘されると、さらに混乱します。

また、鍋を火にかけていたことを忘れて焦がす、同じ物を何度も買ってしまう、人と約束したこと自体を忘れてしまう、といった行動面の失敗が目立つようになると、周囲の人は認知症とは知らずに、注意したり責めたりしてしまうことも。こうした失敗体験が積み重なったり、周囲の理解が得られない状態が続くと、次第に自信を失っていきます。

さらに病気が進行すればできないことが増えるので、行動が制限されがちになります。危ないからと料理をさせてもらえない、孫の子守りを任せてもらえない、一人で出かけることが止められている――。家族は本人を心配し、危険を回避したい一心であれもダメこれもダメと言ってしまうのですが、本人にしてみればどんどんストレスがたまっていくことでしょう。

家族など周囲の人はまず、認知症という病気を正しく理解すること。そして認知症の人の気持ちに寄り添った対応を心がけることが大切です。