認知症の基礎知識
  • 介護

認知症の人はなぜわがままを言うのでしょうか

自分を守るための反応。安心できるよう声かけを

認知症の人は、介護をしようとすると拒否したり、デイサービスに行きたがらなかったり、自宅に来たホームヘルパーに対してきつく当たったりするのはよくあることです。介護をしている家族にしてみれば、「なんとわがままなことを言うのだろうか」と感じることもあるかもしれません。

認知症になると、これまで当たり前のようにできていたことができなくなったり、家族や周囲の人から聞かれたごく簡単なことに答えられなかったりするため、本人はとても不安を感じています。このため「好ましくない状況に自分が立たされている」と感じると、自分を守るために強い拒否反応を示すのです。これは1つの防衛反応です。

何気ない一言が、防衛反応に結びつくこともあります。たとえば財布がないと大騒ぎをしている時に「自分でたんすにしまっていたでしょう!」などと言われると、断固として認めようとしないことも。これは自分の能力の低下を認めたくないための本能的な自己防衛とも考えられます。介護にあたる人は、こうした防衛反応があることを知っておき、認知症の人を安心させるように努める必要があります。

また、介護をする時などに突然始めようとすると、本人にしてみれば何をされるのかわからなくて不安になり、拒否につながることがあります。本人が見える位置から、「着替えてさっぱりしましょうね」というように、やさしい言葉、短い言葉でゆっくりと声をかけるようにしましょう。「これから何をするのか」を事前に説明するように心がけてください。

この記事の認知症キーワード