認知症の基礎知識
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認知症って、どんな病気ですか?

脳の細胞が死滅したり働きが悪くなり、記憶力や判断力が低下します

脳は、呼吸や睡眠といった意識せずに行っている活動から、学ぶ、運動する、創造するといった高度な活動に至るまで、人間のあらゆる活動をコントロールする「司令塔」の役割を果たしています。認知症は、脳の細胞がさまざまな原因で減少したり、働きが悪くなったりすることによって、記憶や判断力の障害などが起こった状態です。認知症になると、ごはんを食べたことを覚えていない、自分のいる場所がどこなのかわからない、できたはずのことができなくなるなど、日常的な社会生活や対人関係に支障が生じます。

「認知症」は病名ではなく、特有の症状を示す状態を総称する言葉です。認知症を引き起こす病気はたくさんありますが、代表的なものは「アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)」「(脳)血管性」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症ピック病)」の4つです。
とくに日本ではアルツハイマー病が多く、全体の6割以上を占めています。さらに老年期の認知症では約80%がアルツハイマー病ではないか、との指摘もあります。アルツハイマー病と血管性認知症の混合タイプも少なくありません。これらの病気を根本的に治す治療法はありませんが、アルツハイマー病とレビー小体型認知症は抗認知症薬で進行を遅らせることが可能です。

ただし、認知症の原因疾患の中には治るものもあります。
転倒などで頭をぶつけたことによって、頭蓋骨と脳の間に血液がたまる「慢性硬膜下血腫」や、脳室が拡大して起こる「正常圧水頭症」は、手術によって治療することができます。
甲状腺の働きの低下によって起こる「甲状腺機能低下症」やビタミン欠乏症に起因する認知症は、甲状腺ホルモンの補充やビタミンの補充で改善します。