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認知症フォーラム宇都宮会場

概要

ー クリップ 1 出演者のみなさん 認知症とのかかわり ー

2013年11月、栃木県総合文化センター(宇都宮市)で認知症フォーラムが開催されました。医療、介護、家族の立場で活躍する4名のパネリストが参加。自己紹介を兼ねて自身と認知症とのかかわりについて語りました。足利富士見台病院・理事長兼院長で認知症専門医の根岸協一郎さんは、認知症医療の現状について「診断技術や薬の進歩で、一早期発見、早期治療が可能になっている」と紹介。グループホーム長をつとめる青田賢之さんは「パーソンセンタードケアが提唱されるようになり、一人一人にスポットを当てた適切な介護が浸透してきている」と、介護現場の変化に触れました。5年前にアルツハイマー型認知症と診断された夫を介護してきた杉村美稍子さんは、発症当初を振り返り「なんとなく異変には気付いていたものの、実際に診断された時は大変なショックでした」と話しました。

ー クリップ 2 認知症の基礎知識 原因疾患 ー

認知症を早期発見には、日ごろからその症状や特徴を正しく理解しておくことが欠かせません。もの忘れは最も気づきやすい症状のひとつですが、年を重ねていくと誰しも多少のもの忘れに悩まされるもの。しかし認知症のもの忘れは「年のせいによる自然なもの忘れとは違って日常生活に支障をきたす」と根岸医師は説明します。さらにMRI画像を示しながら、認知症によって生じる脳の変化を解説。半数を占めているアルツハイマー型認知症や血管性認知症、レビー小体型認知症、脳前頭側頭型認知症など、認知症の原因疾患とその特徴を説明し、疾患ごとの症状の違いも紹介しました。

ー クリップ 3 認知症の診断と治療1 ー

問診や認知機能テスト、画像など、認知症の検査と診断の手順を説明。認知機能テストには「バウムテスト」という新しい検査法が加わりました。脳の血流を調べることで認知症の原因疾患まで類推できる、新しい画像診断SPECTも紹介しました。認知症治療では2011年に新薬が加わり、現在は4種類の薬が使えるようになっています。副作用が少ない貼り薬も登場し、治療の選択肢が広がりました。薬で認知症を完全に治すことはできませんが、早い段階から適切な治療やケアを開始することで病気の進行を抑えられるようになっています。

ー クリップ 4 認知症の診断と治療2 ー

4種類の抗認知症薬が登場し、治療の選択肢が広がっています。薬では認知症を完治させることはできませんが、症状の進行を抑えることが可能になり、発症から早い段階で治療をスタートすれば、より効果が高まることもわかってきています。また認知症では「介護」も、症状の改善に重要な役割を果たしています。長年介護に携わってきた青田さんは「医療と介護が連携し、お互いに情報交換しながら、本人に最も適した療養環境を整えていくことが大事」と強調しています。

ー クリップ 5 行動心理症状 BPSD ー

認知症の症状には中核症状のほかにBPSD(周辺症状)があります。BPSDの現れ方には個人差があり、介護をする人は対応に苦慮することも少なくありません。近年はBPSDの原因は、体の状態や薬物治療による副作用、不適切な療養環境やケアなどにあり、こうした要因を取り除くことで改善できることがわかってきました。さらに安全性の高い漢方薬でBPSDを治療するケースも増えています。認知症によく使われる抑肝散は、イライラや不眠といった神経症状を鎮める効果が高い漢方薬です。副作用も少なく、高齢者も安心して服用できる薬として期待されています。

ー クリップ 6 ソーシャルワーカー ー

介護の現場には「パーソンセンタードケア」という考え方が導入されつつあります。これまでのケアは介護者側の都合を重視した「一方的に与えるケア」が中心でしたが、パーソンセンタードケアは、本人が何を思い、何を希望しているのか、本人の立場で考え、それに沿ったケアを提供していこうというもの。よく見られる「もの盗られ妄想」の事例を通して、パーソンセンタードケアの考え方を説明。青田さんは「盗られたという訴えの裏に何かほかの原因があるのではないか、それをどう解決していけばいいのか、本人にスポットを当てて探っていくことが大事です」とアドバイスしました。

ー クリップ 7 パーソンセンタードケア ケーススタディ ー

介護の現場には「パーソンセンタードケア」という考え方が導入されつつあります。これまでのケアは介護者側の都合を重視した「一方的に与えるケア」が中心でしたが、パーソンセンタードケアは、本人が何を思い、何を希望しているのか、本人の立場で考え、それに沿ったケアを提供していこうというもの。よく見られる「もの盗られ妄想」の事例を通して、パーソンセンタードケアの考え方を説明。青田さんは「盗られたという訴えの裏に何かほかの原因があるのではないか、それをどう解決していけばいいのか、本人にスポットを当てて探っていくことが大事です」とアドバイスしました。

ー クリップ 8 地域で認知症を支える パーソンセンタードソサエティ  ー

急速に高齢化が進む中で、誰もがなる可能性がある認知症。パネリストの杉村美稍子さんの夫であり、5年前にアルツハイマー型認知症と診断された幸宏さんは、「今から備えてほしい」と会場の参加者に呼びかけます。認知症になっても住み慣れた土地での生活を続けるには、住民の協力のもと、安心して暮らせる地域社会「パーソンセンターソサエティ」を作っていくことが必要で、これは国の認知症施策・オレンジプランの一つでもあります。栃木県ではその一環として「元気カフェ」「なじみ庵」という取り組みがスタート。認知症の人が心地よく過ごせる場を提供しています。

ー クリップ 9 宇都宮からのメッセージ ー

フォーラムの最後に、パネリストたちが参加した感想と将来に向けた提言を語りました。杉村さんは夫が認知症と診断された時は落ち込みましたが、周囲の人たちの笑顔が支えになったそうです。「認知症のおかげでたくさんの出会いがありました。ありがとうございます」と話す杉村さんに、客席からは温かい拍手が送られました。「これからも人を中心とした介護をしていきたい」と青田さん。「最終的には安心して生活できる地域づくりをしていかなければなりません」と語りかけました。根岸医師は「ひとりひとりが認知症の正しい知識を持ってほしい」と訴えました。

出演者

平井 基陽(ひらい・もとはる)さん

根岸 協一郎(ねぎし・きょういちろう)さん

医療法人根岸会 足利富士見台病院 理事長兼院長

平井 基陽(ひらい・もとはる)さん

聖マリアンナ医科大学院(博士課程)卒。同大学神経精神科勤務を経て2000年より現職。高齢者の心の病と認知症の診療に取り組む。

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芳野 正裕(ほうの・まさひろ)さん

青田 賢之(あおた・たかゆき)さん

特定非営利活動法人福聚会 グループホーム無量荘 ホーム長

芳野 正裕(ほうの・まさひろ)さん

鹿沼市生まれ。印刷会社での勤務を経て宅老所「無量荘」を開所。ケアは“福祉”でなく“ともに支え合う”ものだと考えている。

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亀井 明氏(かめい・あきら)さん

杉村 美稍子(すぎむら・みやこ)さん

認知症の人と家族の会 栃木県支部 会員

亀井 明氏(かめい・あきら)さん

夫が67歳でアルツハイマー型認知症と診断され、苦しい日々の中で家族会と出会う。本人や家族が集える場が必要だと考えている。

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