認知症の基礎知識
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認知症が疑われる時の診察や検査

問診や知能テスト、画像検査などの結果を総合的に判断します

認知症は「病歴や身体所見」「認知機能のインタビュー検査」「画像診断」の3つの結果を総合的に判断して、診断がなされます。血液や尿、レントゲンなどの一般検査も、原因診断だけでなく、合併症の評価なども含め大切です。
病歴は、ご本人と、患者の状態を身近で見ている方の両方から話を聞くのが一般的です。家族はいつごろからどのような症状が出始めたかなどを、ノートに整理しておき、受診に同行する際に持参すると診断の役に立ちます。
本人の診察の時には、簡単な認知機能テストをします。わが国で最もよく使われているのは「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」です。複数の認知機能テストをして、総合的に評価する場合もあります。

問診や知能テストの結果から認知症が疑われる場合には、CT(コンピュータ断層装置)、やMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)SPECT(脳血流シンチグラフィ)PET(ポジトロン断層撮影)などの画像検査で脳の状態を調べます。 画像検査をすると、認知症かどうかだけでなく、脳の萎縮状態などからアルツハイマー型脳血管性レビー小体型前頭側頭型など「認知症のタイプ」や、またどの程度病状が進行しているのかも、ある程度判断が付きます。導入している医療機関はまだ多くありませんが、とくにSPECTは脳の血流の状態を画像化することによって脳の障害されている部分がわかるので、病状をより確実に把握できます。 また、認知症の症状が出る病気には、転倒などが原因の硬膜外血腫(脳の一部に血がたまり、認知症のような症状が出現した病態)や水頭症も含まれ、手術などの適切な治療をすれば治る場合が少なくありません。画像検査では、こうした「治る認知症」を見つけることができます。