体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2014年10月号(411号)

ー お便り紹介 ー

妻には心から感謝大阪府・Oさん 68歳 男

夕食時、母は箸を置いたまま大きな声で延々としゃべり続ける。妻は相槌を打ちながら笑顔でそれに応えている。私が母に「冷めるよ」と言うと、妻は「2週間ぶりだもんね、お母さん」 と私を抑える。ようやく箸を持つと「これ嫌いや」とおかず、の入った皿を横に退ける。それでも妻は笑みを絶やさない。そして、寝るころあいになると妻は、いつもきまって母の肩から腰、足首を揉みにかかる。この時ばかりは母は「ああ気持ちいいよ」 と嬉しそうに妻の方に顔を起こす。妻は汗びっしょりになっている。私が妻に「ほどほどにしとけよ」と言うと、「お母さんの生きてきた想い出かたりを聴くとつくづく教えられるのよ」と言った。妻には心から感謝している。そして、申し訳なく思う。妻は実父母の死に目に会えていないのだ。
弟夫婦に伝えたい。どんな見守りの仕方もあるが、年1度でもいいから92歳の老いた母の想い出かたりを聴きに行ってほしい。

自分も認知症になるかもしれない千葉県・Uさん 63歳 女

昨年実父を見送り、この数年間に義父母、実母も他界し、親の介護は終わりました。長年、常に親の介護と付き合いながらの日々でしたので、「ぽ~れぽ~れ」のページをめくるごとに、自分の事と重なり、過去の介護していた頃の記憶がよみがえります。
現在、大変な思いで、介護に明け暮れておられる方々のことを思うと胸が痛むばかりです。
「家族の会」を通し、一人でも多くの介護者の方が頑張って乗り越えて下さいますよう祈念しながら「ぽ~れぽ~れ」を毎月拝読しております。そして、「いつ夫が、いつ自分自身も認知症になるかもしれない」 という不安も頭のすみにあります。
ご近所に認知症の兆しの方がおられますので、近隣の方々と声をかけあい、意識してその人の行動に接するようにしています。

今を大切にしてください (ぽーれぽーれ8月号「悲しそうな顔の父」を読んで)東京都・Wさん 男

Yさんの今の気持ち本当に辛いと思いますし、その気持ち良くわかります。自分も認知症と腎不全の父を母親と今年看取りました。父は腎不全悪化で透析をしないと命の保証はないとの告知を平成24年12月に医師より受けました。医師と母親と何度も話し合いをし、当時80歳と高齢のため、透析という延命処置はしないと自分が最終的判断をしました。
本当に家族にとって苦渋の判断で、自分も今でもこの判断で良かったのかと苦しんでいます。看取りケアも辛く、悲しく、きつい介護となりました。自分も在宅で、やってきたからわかります。Yさんが判断が出来なかったことは親を思ってのことなので、それでよかったと思うし、間違っていないと思います。本当に辛い判断をしたのだから・・・。
今を大切に、少しでもお父さんと接する時間を大切にして過ごしてもらいたい。毎日毎日を大切にしてもらいたい。そして、穏やかな時が少しでも長く続くよう祈っています。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。