体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2017年2月号(439号)

ー お便り紹介 ー

わかってくれる人がいることが安心山梨県・Cさん 80歳代 男

85歳の妻を介護しています。「男性介護者のつどい」に参加してから、毎月の相談日に参加しています。妻の精神科入院からショートステイ利用など、そのつど相談をし、話を聞いてもらうことが、毎日の安心に繋がっています。わかってくれる人がいることが安心です。

一人ではないから大丈夫福岡県・Gさん 60歳代 女

同居の実母が変だなと思い、2008年10月にやっとメモリーメンタルクリニックに受診できました。認知症とわかって、やっぱりそうなんだと納得しても、3年位はイライラや悲しみがありました。
「家族の会」の「つどい」に参加し、いろいろな方のお話をお聞きして、自分だけの考えで母と向き合うことがなくなり、今はとても穏やかに、家族と4匹のネコと暮らしています。
90歳になって、身体を丸めて寝ている母を見て、悲しくなることもありますが、一人ではないから大丈夫です。

成年後見人に悶々とした思い宮崎県・Hさん 60歳代 女

主人は72歳。若年性アルツハイマーと診断され、9年目。現在、要介護4の状態です。ショートを利用(月に2泊3日程度を2回)しながら在宅での生活です。介護を継続してきているなかで、対社会的には妻としての立場は弱く、嫌な思いをすることもありました。主人の「成年後見人」として法律的にも守られた立場で、介護をしていきたいという思いで申し立てをしました。「財産管理」「身上監護」、どちらも妻である私がやることを裁判所に言いましたが、「財産管理」には弁護士がつくことで審判されました。「成年後見人制度」にのっとり、後見が開始され1年経過し、後見料を弁護士に支払っています。最初の申し立ての時の自分の気持ちと真逆に進んでいくことに納得がいかず、裁判所に抗告(審判がでた直後)もしましたが、受け入れられず、どこにも相談のしようもなく、対処法もみつからず、悶々とした日々を送っています。

今後に不安東京都・Iさん 70歳代 女

平成26年、独りで生活していた兄と一緒に暮らし始めました。種々、試行錯誤しながら介護していますが、今後どうなるかと不安になったり、症状がひどくなった時の対処の仕方など、皆様の経験を知りたいです。
兄はやっと、デイサービスに週1回行くようになりましたが、週に2日ほどは夜眠らず、徘徊や感情失禁があり、一人で介護しているので大変です。

ー 私の介護体験談 ー

私の介護(5年間の体験)福岡県支部 70歳代

 

夫の探し物をする時間が増え、物忘れがひどくなり、必要な物は一覧表でチェックしながらの生活。徐々に仕事上も支障をきたし、医師として「レビー小体型認知症だ」と思い自ら受診、病名を告げられたのは2011年11月でした。その帰路、淡いオレンジ色の夕焼け空の下、景色がすべてセピア色に見えたことを印象深く記憶しています。
当初はレビー小体との闘いに挑む意欲を見せ、積極的にウォーキング、パソコン教室などに取り組んでいたものの、進行とともにその意欲は減退し、3〜4年後にトイレの失敗、幻視幻聴などが増えてきました。
「家族の会」のつどいやレビー小体型認知症サポートネットワーク研修会など、できるだけ2人で参加。果たしてこのことが良かったのかどうか、今も疑問を残したままです。骨折で寝たきり、最後は誤嚥性肺炎で亡くなられた方のお話があり、どうせ自分の最後はそんなものだと言ったりしたのです。本人のショックは大きかったようです。
生きている甲斐がないなどと思い詰め、病気に対する本人の不安の大きさをどのくらい理解しているのか自信はなく、難しさを痛感しています。

介護の負担と本人の自尊心

夫に見えないものが見えてしまうことは薬の微調整でかなり改善し、服薬は注意深く観察記録し、そのつど医師に相談することが大切です。
住み慣れた家でもトイレの場所が判らない、行ってもどうしてよいか判らないなど、幾度も失敗がありました。介護者の負担もさることながら、本人の自尊心が大きく傷つくことを考え、夜間でも必ず便座に座るまでを見届けています。間に合わない時の安心にと、紙オムツの有効性を繰り返し伝え、納得してもらっています。
このように書きながら、失敗の原因、水分補給や声掛けなど、ここに至るまで大変でした。トイレなどはおしっこだらけ、夜幾度お掃除したことでしょう。トイレ「戦争」という嫌な言葉が頭をよぎるほどでした。病気のせいだし、自尊心を傷つけないよう、小言は控えめにしました。

「生活にメリハリがない」

「美味しい」と味覚が残っていることはうれしい。寝付かれない時にさすると、「ごめんね」「ありがとう」と思いやりが残っていることにホッとします。
最近不安が大きく、私の姿が見えないと探すので、自由な時間は少なく、疲れを感じたりします。
ある時、「生活にメリハリがない」と言われ、私としては一生懸命にやっているつもりでも、やはり社会的な存在の人間は、いろいろな人とのかかわりの中で生きていくものなのでしょう。今は要介護3でデイケアを週2回、訪問リハビリを週1回利用しています。
それにしてもレビー小体は、79歳の夫の脳細胞をどこまでも壊してしまうようです。時々、真顔で私に「自己紹介して」と言ったりします。パーキンソン症状も悪化、この先どこまで自宅での介護を続けられるか不安もありますが、ケアマネさん、介護スタッフの方々には心から感謝しています。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。