体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2018年8月号(457号)

ー お便り紹介 ー

仲間たちに救われています兵庫県・Aさん 男

50年連れ添った妻を介護することになって、5月に「家族の会」に入会しました。妻が元気な時には「介護」なんて考えたこともありませんでした。
でも今は、妻の認知症の症状に振り回されています。たとえば洗濯。「これは私の仕事です。後で干してください」と大きな字で張り紙をしているのですが、妻は途中でスイッチを切り、まだ洗えていないのに干そうとします。後で私がもう一度やり直しです。料理でも、フライパンで肉を炒める時、油の代わりにソースをひいたりします。風呂も流すことがわからなくなっているので、私が洗います。どうしたらいいのか考える日々です。愛情を持って介護しなければと思うのですが、あまりに辛いと「自分が死んだ方がましだ」という考えが頭をよぎることもあります。
そんな辛い日々なのですが、認知症カフェで出会った仲間たちに救われています。仲間たちは暖かい笑顔とともに、いろいろな知恵を授けてくれます。サービスをうまく使うこと、介護者の健康が一番、悩みを一人で抱え込まずに相談すること、頑張りすぎないことなど、たくさんのことを教えてくれます。不安だらけですが、何とか乗り切っていきたいと考えています。「お父さんと結婚してよかった」と妻に思ってもらえるような介護を目指します。

「家族の会」が心の支え神奈川県・Bさん 女

平成15年、アルツハイマー型認知症だった母は亡くなりました。当時は情報がなく、毎日の対応に追われる日々でした。「家族の会」に入会して、杉山先生のお話を聞き、質問に答えていただき、一気に心が温かくなりました。その後は母の思いを理解できるようになり、後半は言葉が出なくなりましたが、鼻歌を二人で歌っては心を繋げていました。
次は、父がお風呂に入らなくなりましたが、地域包括と医師との連携でサクサクとことが進み、入所がすんなり決まり、今年1月に施設で亡くなりました。93歳でした。その間、いろんなことがありましたが、全国の会員と同じ思いでつながっていることがとても心強かったです。心の支えになっていました。

ゆったりとした二人の時間千葉県・Dさん 女

夫が認知症になって7年。心臓手術、そして昨年は脳出血。左半身マヒで自分では動けなくなりましたが、幸い病院からすぐ老健施設に入居できました。ユニット型の一人部屋で経済的には大変です。
週2回、洗濯物を取りに行く時、面会していますが、認知症の進みが早く、話すことがかみ合わなくなりました。夫の空想に付き合って、「そうだねぇ」と話を合わせています。私に頼りきりの夫に、若いころとは違う愛おしさを感じます。忙しかった人生の中で一番ゆったり、二人の時間が流れます。

社会的な活動を続けたい埼玉県・Gさん 女

アルツハイマー型認知症との診断を受け、4年たちました。自覚症状はありませんが、家人によれば「物忘れが増え、直前の記憶が悪くなり、同じことを何度も言う」とのことです。父もアルツハイマーで、83歳の人生でした。70歳を過ぎたころより症状が進行して、75歳では要介護の状態となりました。
私はまだ現役で仕事を続けております。少しでも長い間、社会的な活動を続けたいと希望しております。これからも私どもの病を持つ人の力になっていただきますよう、お願い申し上げます。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。