体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2019年10月号(471号)

ー お便り紹介 ー

知恵、工夫、作戦、笑いが大切千葉県・Bさん 女

8年前、主人はアルツハイマー型認知症を発症しました。ある日、「ぽ〜れぽ〜れ」に目が留まり、認知症の体験談、お知らせなどを読み、つどいにも2人で参加し、食事をして帰るのが楽しみでした。講演会は私にとって、大変大きな支えになりました。その後、主人はデイサービスを利用し、私は趣味の詩吟、卓球なども続けられたので、介護との切り替えもできました。知恵、工夫、作戦、あとは笑いが大切だと知りました。工夫が私の日課になりました。
しかし突然、肺がんになり、苦しみもなく、アッという間にお別れとなりました。皆さま方のおかげで介護が終わりました。

妻より先立つことを予測して愛知県・Eさん 男

70歳代の妻は、一昨年、要支援1の介護認定を受けましたが、特にサービスを利用しないまま、3月に切れていたため、8月に再度認定の申請を行い、9月ごろからできるだけ早い時期にデイサービスに通えるよう計画中です。
妻は、2年前に意味性認知症(※)と診断されました。生活はほとんど自立して、家事、畑作業も毎日普通にこなしていますが、物忘れや言葉の言い間違いがかなりみられます。自動車の運転も8月で免許期限が切れるため、辞めることにしました。2ヵ月ごとに神経内科に通って経過観察、薬は有効なものがないため、飲んでいません。
私は、9年ほど名古屋市内の特別養護老人ホームで事務職をし、現在はデイサービスで送迎運転業務をするかたわら、妻と毎日外出し、買い物や楽しみにしているパチンコに同行するのが日課となっています。私も持病があるため、妻より先立つことを予測した上で、将来の心配ができるだけないよう、元気なうちに必要な介護サービスを受けていけるように取り計らっていきたいと思います。

(※)前頭側頭葉変性症として難病指定されている。言葉の意味がわからない、団子を「だんし」と読み間違えるなどの症状が特徴的。

50年の集大成?埼玉県・Fさん 男

90歳で難聴の私は、介護の疲れを癒すのも、新しい知識を得るのも会報からです。
「家族の会」も40周年を迎え、当事者運動体としてのあり方を検討されていると思いますが、認知症高齢者600万人、認知症サポーター1000万人と言われている中で、会員は1万2000人です。会員増の難しさはあるとしても、どなたかの講演で「会の存在を知らず、肩身を狭くして悩み苦しんでいる人たちに一日も早くこの会の存在を知ってもらいたい」という言葉は重く聞こえます。
私も会員として2年あまり、「ぽ〜れぽ〜れ」のおかげで介護を続けていますが、何もできない自分を叱っています。今日も、朝早くから、私を非難する妻の叫び声で壮絶な一日が始まりました。50年の集大成としては残念ですが、「介護して 初めて仮面取り外し 汗をかきかき 過ごす一日」です。

脳に刺激を与えること神奈川県・Gさん 男

妻は5年前に脳梗塞を発症して、それ以降、主治医の診察と服薬を続けています。2年ほど前から見当識障害の症状が顕著になってきています。毎日、日めくりカレンダーで
日にちを確認し、その日の予定をメモして確認しながらの生活をしています。日常の炊事、洗濯、買い物などは、私も手伝いながら普通にしています。身体に不自由はありません。
今のところ、同じことを何度も聞いてきたり、記憶面で物忘れが顕著になっているくらいと思っていますが、主治医に「将来、徘徊や妄想などになりますか?」と聞いたら、「可能性はあります」と言われて、非常に不安になりました。「人との会話や散歩、音楽を聴くこと、旅行など、脳に刺激を与えることが進行を遅らせるのに有効です」と言われて実行しています。コンサートなどにもよく行きます。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。