体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2021年5月号(490号)

ー お便り紹介 ー

攻撃的な母静岡県・Dさん 女

母は物盗られ妄想と幻視が日増しにひどくなっています。父が泥棒や誘拐犯に見えるようで、「出て行け!」と繰り返しますが、父は在宅酸素を使用していて、呼吸苦があるため拒否すると、母はどんどん攻撃的になり、昨日は馬乗りになって首を絞められたと父が言っていました。私は仕事をしており、休みの時はそのような状態になる前に手を打つことができるのですが、そのような状態の時には誰が間に入っても、わかってくれなくて困ってしまいます。デイサービスも拒否があって行ってくれません。

つどいもデイも休んでいます奈良県・Eさん 女

毎回楽しみにしていた「家族の会」 のつどいに行っても、主人は長く座ることができないのでお休みしています。皆さんに会いたいです。
コロナ禍で主人はTVが友達になり、一日中見ていますが…ほとんどベッドで横になり、寝ているのか、TVを見ているのかわかりません。TVで認知症の人がコロナ感染したら、受け入れが難しく、入院先が見つからず死亡される人がいると聞き、デイサービスに行くのが嫌なのに輪をかけて行きたくないと言います。認知症になっても頭のどこかに人に迷惑をかけたらいけないという部分が残り、デイサービス利用日は微熱が出て、利用を休むと連絡をすると平熱に下がり、駄々っ子のようです。
まだ先の話ですが、高齢者は早くコロナワクチン接種を受けられると聞きますが、主人は自分の身体を管理できないので、どのように対応したらよいか心配で不安です。アレルギーがあるので、ワクチンを受けないのが良いかなと思ったりしています。ワクチン効果より、副反応が怖いです。
主人は相変わらずタ方になると落ち着かずソワソワし、部屋の中を歩きます。散歩と言って一緒に行きますが、電話などで目を離すと待つことができず、素早く外へ行きます。一人で歩きたい時もあるのでしょう。現在のところ散歩や買い物などに行く時は迷子にならないよう、同じ道を目印に歩いているので、徘徊をしても早く見つけることができ、また、地域の方に助けてもらい、感謝、感謝の日々です。

ー 私の介護体験談 ー

高齢の父と若年性認知症の夫と介護者の私広島県支部 60歳代

父が帰ってきた

父は、93歳で要介護1です。2019年11月に腰椎圧迫骨折で入院しました。その後老人保健施設に入所して2020年10月末に施設内で転倒して左大腿骨粉砕骨折で手術をしました。リハビり専門病院に転院し2021年1月末に約15ヶ月ぶりに手押し車で歩けるようになり我が家に帰ってきました。

夫の入院

夫は、47歳の時に若年性認知症を発症して現在66歳で要介護5です。父が入院していた間に夫は、3回入退院を繰り返しました。夫の介護は、父のようにはいきません。入院をした時は、本当に心配でしたが病院を信頼するしかないと思いました。10数年前から夫のことを知っている看護師さんが居られて、その方がいるというだけで「大丈夫」と自分に言い聞かせていました。
当時、父と夫が入院している病院を行ったり来たりすることは体力的にも精神的にも少々きつかったです。最近また夫が入院しました。入院期間は、約1ヶ月で、退院後は一週間程看護小規模多機能ホームで様子をみてもらう予定です。

二人の介護と自分の時間を両立できるのか?

父は年齢相応の物忘れはしっかりあるので私はとてもイライラします。でも「ご飯が美味しい」と言ったり、寝る前には「ありがとう」と言ってくれることが有難いことと思うようにしています。介護をする時間は、入院前に比べて格段に増えましたが、夫の介護経験が役立つ場面も多々あり経験や知識は大事だと再確認しています。さらに、退院前に看護師さんが足の褥瘡(床ずれ)の手当ての仕方やその動画も撮ることで、毎日の手当てへの抵抗感が激減しました。リハビリ専門病院では、先生からのお話がある時いつも父に関わってくださっている、いろいろな職種の方々と一緒に話を聞きました。先生のお話で父や家族の思いをチームで共有していることを強く感じました。ご近所さんから「お父さん帰ってきたの?」などと声をかけていただけることも、見守ってもらっているのだと思えて「また、声を掛けてくださいね」と自然に言えます。
夫が退院をして我が家に帰ってきたら、痰の吸引や胃瘻の管理も再開します。また、夜勤をするような生活が始まると思いますが、様々な方たちの力を借りてやってみようと思います。
私は父の介護に慣れるため、習い事をお休みしていますがまた始めようと思います。自分の時間も大事ですから。私がパンクしないために、ケアマネジャーと一緒にこれからのことを考えています。
正直に言って、私は本当に夫と父の介護ができるかどうか不安で一杯です。でも、チャレンジしてみます。
なぜなら、これからもずっと三人で暮らしていきたいから。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。