体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2022年2月号(499号)

ー お便り紹介 ー

心が重いです富山県・Dさん 男

5年程前にアルツハイマー型認知症と診断された妻は、嚥下障害、拒食、拒薬、不眠になり11月中旬より入院中です。「家族の会」のことは早くから知ってはいました。早く入会して、少しでも情報を得て、参考になることがあり、症状が抑えられたのではないかと後悔しています。もっとできることがあったのではと、心が重いです。

本人に合わせた生活千葉県・Eさん 女

夫は7年前にアルツハイマー型認知症と診断されました。介護は毎日が本人に合わせた生活で、戸惑ったり、自分が精神的におかしくなったりして、なんとかしなくてはと思っています。「家族の会」に入会して、いろいろな人の意見を聞いて、気持ちを和らげることができたらと思います。

予想外の事態沖縄県・Fさん

妹は入居しているグループホームで転倒して大腿骨頸部骨折。入院して金属で補強する手術のため、慌ただしく入院の準備!入院のための資料には、コロナ感染防止のため原則「面会禁止」、介助などの付き添いも禁止でした。
10日程の入院とその後2ヵ月間のリハビリ治療とのこと。妹は大丈夫だろうか?とにかく手術は一人で頑張ってもらうしかなく、祈る気持ちでした。リハビリ治療しなければ、車椅子になるかもしれないとの主治医のお話でした。2ヵ月間も知らない環境で、家族の付き添いもない。知らない人々の中で、痛い思いをしながらリハビリ治療して、精神的にもつのか、認知症が進行していかないのかの方が心配でした。
考えすぎかもしれませんが、果たして2ヵ月後、グループホームに戻れるのか?本人にとって何が一番良いのか?リハビリか、居住地か、悩みに悩んでグループホームの責任者に相談しました。退院後、グループホームでの職員による見守りとリハビリが可能とのことでした。車椅子になってもいい!今まで通り、馴染みがあり、居心地のいいことが本人にとって一番かもしれないとお願いしました。
その後、面会もできない中、グループホームから妹の動画が届きました。ニコニコ笑顔で立って、一人で歩いている姿でした。退院してグループホームに戻って10日程です。涙が出ました。心から感謝いたします。

ー 私の介護体験談 ー

病む妻は 昔じょっぱり 今天使青森県支部 70歳代

病む妻は 昔じょっぱり

自分でも何故か分からないが、認知症を発症した妻が愛おしい。
今年は、コロナ禍の影響もあり特に外出することは無いが、施設に入所した妻のもとには、週2回必ず面会に出かけている。
面会の度、「今日も来たよ」といつものように妻に声をかけるが、うつむいて顔を合わせることも少ない。直接触れ合うことや会話することはできないが、顔を見るだけでも心が休まる。
特に子どもたちが巣立ってからは、行き違いもあり、気の強い妻とは何かと衝突することがあった。時には「このまま老後まで過ごすことは、無理だ」と思うこともあった。
改めて振り返ると、病気を発症した頃から何処にでも一緒に出掛けるようになった。旅行に買い物に、いつも手を繋ぎ、妻の言動には何事も逆らわず、云うままに過ごしてきた2年半余りの時間が私にとって密な時間であった。

病む妻は 今天使

以前の姿が思い出せないくらい変貌した妻の姿が、そこにある。月に一度ほど、私がふざけると妻から笑みがこぼれることがある。施設の職員に「今、笑ったよね?」と尋ねると「笑っていましたね」と答えてくれる。笑みがこぼれた一瞬をスマホで撮影しようとするが慌ててしまい、上手く撮影したことは無い。写真に残せてはいないが、私の脳には、ハッキリと笑顔が焼き付いている。
喋ることも考えることも忘れてしまったような彼女がおり、私は「どうして?どうして?」と考えてしまう。できることなら代わりたい。
私自身、残された時間は、そう多くはないと感じている。一日は長いが、過ぎ去っていく年は余りにも早い。
夫さえも解らなくなったように思える妻の目は、なぜか天使のような感じさえする。
その優しい目で一度でいいから、昔のように名前を呼んで欲しい。絶対に叶わぬ夢と思いつつ、今日も何かに惹かれるように妻のもとへ足を運ぶ。

※じょっぱり…青森県の方言で「意地っ張り、頑固者」

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。