体験談〜本人の声、家族の声〜

認知症の人と家族の会 
会報誌「ぽ〜れぽ〜れ」

2023年1月号(510号)

ー お便り紹介 ー

施設入居に「後ろめたさと罪悪感」福井県・Aさん 女

夫は6年ほど前からおかしなことや道理に合わないことを言ったりするので、気になり主治医の先生に診てもらったところ、認知症と診断されショックを受けました。その後の夫の生活は、認知症独特の症状でそれがだんだんと進むと共に、私は少々疲れてきました。ケアマネジャーさんにお願いして、デイサービスを3年間続け、今年の3月よりショートステイ、7月より老健施設に入居させてもらいました。
54年間いつも一緒に過ごしてきましたが、別々の生活になってしまいました。その上コロナ禍で面会ができず、介護士さんから様子を聞き、今までとあまり変わっていないようで安心しています。預けたことについて私は、後ろめたい気持ちと罪悪感に襲われましたが、介護の大変さを見聞きしている人たちから「それで良かったのでは・・・」と言われ、心を慰めています。
物音がすると「アレッ!夫かな?」と錯覚したりします。夫との生活でいろんなことが思い出され、楽しかったことを思い描いています。施設の方々やいろんな方のお世話になると思います。私もこれまで以上に夫が安穏に過ごしていけるように努めたいと思います。

元気になればなったで…群馬県・Bさん 男

母は急性硬膜下血腫で手術をして以来、この4カ月ほどで急速に回復し、傷跡も目立たなくなり、せん妄も治まりました。しかし、元気になるとともに、また徘徊が始まってしまいました。私の油断もあり、2日続けて出かけてしまいましたが、GPSの見守りサービスを利用し、40分ほどで発見できました。母の回復はうれしく、私も夜睡眠がとれるようになりましたが、少し心配事も出来てしまいました。

独り言山口県・Dさん 男

認知症の妻に付き添って見守っている夫の独り言です。一緒に外出するために車を用意して待ちます。本人は動作がゆっくりですので、出てきた時玄関の鍵を渡して施錠してもらいます。完全に施錠するかを見ておきます。その鍵をいつもはすぐに私に預けてくれますが、私に手渡さないでいる時は、本人の手提げ袋に入れてしまいます。これも見ておきます。帰宅時、鍵をいつものように私に手渡したはずだと、早く玄関を開けろと意思表示します。
家に帰って眼鏡を置きます。これも見ておかないと、眼鏡がないと私に言います。私が取ってきて渡してやります。自分で見つからない物がある時は、私に預けただろうという態度をします。私も知らない時は、私だけが本気で探します。妻は私に預けただろう、早く出せという態度です。ほとほと疲れます。認知症競争に負けた者の戯れ言です。お笑いください…。

もう一度だけ会えれば…山形県・Eさん 女

現在、95歳になる実母が実家(北海道)近くの介護療養型医療施設に入所しています。コロナ禍の中、会えませんが、元気にしているようです。会えないで終わるかもしれないと覚悟しています。ずっと年に3回以上は車で母を連れ出し、実家に泊まるということをしてきているので、悔いはありません。が、もう一度だけ会えれば…とは思います。
また、同居中の夫の母に認知症があり、失禁に悩まされています。寝起きが悪く、デイに通わせるために朝が大変です。ずっと世話人をし、悩む家族の声を聞き、解決策を一緒に考えてきましたが、自分がその立場になり、うつと腰痛になるのではと心配する毎日です。

※ 会員様からのお便りを原文のまま掲載しております。