認知症の基礎知識
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「ご飯を食べさせてもらっていない」と騒ぐ場合の接し方

「いま支度していますからね」と声をかけてみましょう

食事をしたばかりなのに、そのことをすっかり忘れてしまい、「ご飯を食べさせてもらっていない」と騒いだり、言いふらしたりするお年寄りがしばしば見られます。
認知症が軽度から中度のときに、よく見られる症状です。
「さっき食べたでしょ」「今はまだご飯の時間じゃないよ」と叱っても、本人に食事の記憶がないのですから逆効果に。
また脳の機能も落ちているため満腹感も感じづらく、いくら説明しても理解してもらうのは難しいもの。ひどい時には「家族がご飯を食べさせてくれない」と近所に訴えるような事態になってしまいます。
近所の人に聞かれると、まるで虐待しているように思われるので、家族もつい「人聞きの悪いことを言わないで!」と怒ってしまいがちです。よくあることですから冷静に対応しましょう。

「いま支度していますからね」「お茶でも飲んで待っていてください」などと声をかけると、納得して安心してもらいやすいものです。また、満腹中枢は胃が一杯というだけでなく、食べ物を見て、味や匂いを感じることによって、満たされるものですが、認知症によってこれらの記憶も失われると、実際空腹を感じやすくなることがあります。お腹がすいていると思われるときは、カロリーや塩分があまり含まれておらず、しっかり噛む感覚が持てる食物で、空腹感を紛らわせるとよいでしょう。
間食が多くなりすぎて、食事が不規則になるのは好ましくないので、少量にとどめるのがコツです。食べ過ぎが気になる時は、一食分の食事量をあらかじめ減らしておき、残りをおにぎりなどにして小出しにするのも良いでしょう。

また、寂しさを訴える手段として食事を持ちだしている場合もあるので、話し相手になると落ち着くこともあります。

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