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認知症フォーラム大分会場

概要

ー クリップ 1 出演者のみなさん 認知症とのかかわり ー

2014年2月8日、ホルトホール大分で「認知症フォーラム」が開催されました。 約900人の聴講者を前に、医療、介護、家族、地域、それぞれの立場で認知症対策に取り組んでいる3人のパネリストたちが、自身と認知症とのかかわりについて語りました。精神科医の山内勇人さんは、治療薬やケアの充実など、認知症対策が進みつつあることを紹介。介護福祉士として現場でケアに携わってきた工藤美奈子さんは「介護者主導の介護から、本人の気持ちに寄り添った介護へと変わってきている」と話しました。一方、50歳でアルツハイマー型認知症と診断された実母を介護した黒川博美さんは、周囲の無理解がどれほど家族を苦しめてしまうかなど、自らの経験を語りました。

ー クリップ 2 認知症の基礎知識 原因疾患 ー

認知症を早期発見し、治療へとつなげるには、日ごろからその症状や特徴を正しく理解しておくことが大切です。そこで山内医師が、基礎知識をレクチャーしました。最も気づきやすい症状は「もの忘れ」ですが、年のせいによる自然なもの忘れとは違い、体験を丸ごと忘れてしまうといった特徴があり、日常生活に支障をきたします。さらに山内医師はMRIの画像を示しながら、認知症によって生じる脳の変化について解説。アルツハイマー型やレビー小体型、脳血管性、前頭側頭型など、認知症の原因疾患とその特徴を説明しました。

ー クリップ 3 認知症の診断と治療 ケアによる効果 ー

山内医師が、問診や認知機能テスト、画像など、認知症の検査と診断の手順を説明。認知症治療の核になる薬物治療の最新情報を紹介しました。治療薬は2011年に新しい薬が認可され、現在は4種類の薬が使えるようになっています。薬の種類が増えたことによって、副作用が出た場合は別のものに変える、作用の異なる複数の薬を組み合わせるなど、治療の選択肢も広がりました。薬で認知症を完全に治すことはできませんが、早い段階から適切な治療やケアを開始することで病気の進行を抑えられるようになっています。

ー クリップ 4 認知症の症状 BPSDに対するアプローチ ー

認知症の症状は中核症状とBPSD(周辺症状)の2つに大別できます。BPSDは徘徊や妄想、暴力などさまざまで、人によって現れ方に違いがあり、対応が難しいものです。しかし近年は、体の状態や薬物治療による副作用など、さまざまな要因が引き金となっていることがわかってきました。BPSDを改善するには、こうした要因を取り除くことが基本ですが、漢方薬を利用して治療するケースも増えています。数ある漢方薬の中でも抑肝散は子どもの夜泣きや疳の虫治療に使われてきたもので、副作用はほとんどありません。イライラや不眠といった神経症状を鎮める効果が高く、高齢者に活用できる漢方薬として期待されています。

ー クリップ 5 パーソンセンタード・ケア ケーススタディ ー

介護の現場には「パーソンセンタードケア」という考え方が導入されつつあります。パーソンセンタードケアは、何を思い、何を希望しているのか、本人の立場に立って考え、それに沿ったケアを提供していこうというもの。「もの盗られ妄想」と「徘徊」の2つの事例を通して、パーソンセンタードケアの考え方や活用法を説明しました。

ー クリップ 6 地域の力 大分からのメッセージ ー

認知症の人や家族が住み慣れた自宅でこれまで通りの生活を続けるには、医療や介護だけでなく地域全体で支えていく体制が不可欠です。認知症に対する理解は少しずつ広がっていますが、こうしたしくみを協力しながら作り上げていくことが求められています。フォーラムの最後に、3名のパネリストが感想とともにメッセージを発信。山内医師は「認知症を他人事ではなく自分のこととして考えてほしい。今日のフォーラムをきっかけに『認知症になっても暮らしやすい大分』を作っていきましょう」と呼びかけました。

出演者

山内 勇人(やまうち・はやと)さん

山内 勇人(やまうち・はやと)さん

医療法人仁恵会 佐伯保養院 副院長

山内 勇人(やまうち・はやと)さん

愛媛大学卒業後、内科医として勤務。現在は精神科医として、地域の諸機関と連携しながら認知症の治療や啓発活動に取り組んでいる。

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工藤 美奈子(くどう・みなこ)さん

工藤 美奈子(くどう・みなこ)さん

(株)福祉の杜いまじん 主任介護支援専門員

工藤 美奈子(くどう・みなこ)さん

介護福祉士として1991年より高齢者介護に従事。2006年に福祉の杜いまじんを設立、認知症ケアを中心に活動。大分県認知症介護指導者。

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黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

認知症の人と家族の会 大分県支部

黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

母が50歳で認知症を発症し、在宅で介護する祖母を手伝った。2010年に母を看取り、現在は認知症の義母を介護中。3人の子の母。栄養士。

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