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認知症フォーラム鳥取会場

概要

ー クリップ 1 出演者のみなさん 認知症とのかかわり ー

鳥取市で開催された認知症フォーラム。地域で活躍する4人のパネリストたちが、医療、介護、家族の立場から、認知症とのかかわりについて語りました。医師の髙田さんは「認知症は誰でのなる可能性がある病気だけに、住み慣れた地域で医療が受けられるようにしたい」と話します。同じく医師の森さんは、医療だけでなく、介護や行政と連携しながら暮らしていくことの大切さを強調しました。介護の仕事にたずさわってきた竹本さんは「地域の中で本人が持っていた関係を復活させることが、本当の意味でのその人らしさを考えたケア」だと考えているとのこと。介護経験のある吉野さんは、介護する家族に大きな負担がかかっている実情を伝えました。(3:26)

ー クリップ 2 認知症の基礎知識 原因疾患と診断  ー

認知症の症状の一つが「もの忘れ」ですが、年のせいによる自然なもの忘れとは違った特徴があります。医師の髙田さんがその違いについて事例を挙げながら説明しました。認知症のさまざまな原因疾患についても紹介。最も多いのは、全体の半数を占めるアルツハイマー型認知症ですが、症状が特徴的なレビー小体型認知症も増えてきました。認知症かどうかは、問診、認知機能テスト、画像検査などの結果から総合的に判断しますが、近年はSPECTという検査で脳の血流の状態を調べることで原因疾患までわかるようになっています。(4:45)

ー クリップ 3 認知症の治療 抗認知症薬とケア ー

認知症治療の基本は薬物療法で、現在は4種類の薬が使えます。認知症を完全に治すことはできませんが、早く使うことで病気の進行を遅らせることができるようになりました。また、治療を進めつつ、個人個人に合わせた環境調整や適切なケアを提供すれば、症状をさらに改善することが期待できます。症状が改善すると、介護をする家族にもゆとりや張り合いが生まれるなど、全体を良い方向に動かすことができるのです。(3:19)

ー クリップ 4 認知症の症状 BPSDを改善するために ー

認知症の症状は、中核症状と周辺症状に大別できます。脳の障害が原因の中核症状は、認知症になると誰にでも現れるもの。一方、周辺症状は人によって現れ方がさまざまで、家族は対応に苦慮することが少なくありません。しかし近年は「BPSD」と呼ばれるようになり、原因を取り除く努力をしたり、薬などで積極的に改善を試みたりという流れに変わってきています。とくに漢方薬は有力なBPSD対策として注目され、抑肝散という薬は認知症による精神症状を抑える効果が高いと期待されています。(4:15)

ー クリップ 5 パーソン・センタード・ケア 本人に寄り添う介護 ー

認知症介護の現場では、本人の気持ちを想像し、希望に沿って介護する「パーソン・センタード・ケア」が導入されるようになりました。その考え方や手法は、施設などの介護職だけでなく家族も活用できます。会場では、介護者がとくに苦労する「徘徊」と「もの盗られ妄想」の2つの事例を通じ、パーソン・センタード・ケアに基づいた対応を説明しました。介護に携わる人全員がパーソン・センタード・ケアの考え方を身に付ければ「我が家なりのBPSD対処法」は見つかります。(4:38)

ー クリップ 6 認知症の人を地域で見守るために ー

認知症の人を地域で見守っていくには、どのように取り組んでいけばいいのでしょうか。「病気を診るだけでなく生活を支える」をキーワードに、パネリストたちが意見を出し合いました。「何をプラスすれば生活が楽になり、楽しくなるのかを考えることが大事」と髙田さん。森さんは「それぞれが自分でできることをやる」という視点を持つことの大切さを強調します。竹本さんは「介護サービスが入っても地域の見守りは欠かせない。数人で分担をすれば負担は少ない。ぜひやりましょう」と呼びかけました。(4:33)

ー クリップ 7 鳥取からのメッセージ ー

フォーラムの最後に、4名のパネリストが感想を述べ、メッセージを送りました。吉野さんは「認知症という病気は、家族だけで抱えていたら、本人も家族も自滅してしまう。どこかとつながることを考えてほしい」とアドバイス。竹本さんは「介護サービスだけでは足りない部分もある。地域に住む人々が、自ら守っていく努力が必要」と話します。森さんは「自分たちの問題と捉え、それぞれができることをする、身近なところから始めましょう」と呼びかけました。髙田さんは「みんなの力を結集して認知症の方を支え、住みやすい社会をつくることが大事」と結びました。(3:58)

【2012年3月29日公開】

出演者

山内 勇人(やまうち・はやと)さん

髙田 照男(たかた・てるお)さん

南部町国民健康保険西伯病院 精神科・神経科 部長

山内 勇人(やまうち・はやと)さん

鳥取大学医学部大学院卒。認知症疾患医療センター長兼務。認知症高齢者の相談、訪問、啓発のための連携作りなどに尽力している。

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工藤 美奈子(くどう・みなこ)さん

森 望美(もり・のぞみ)さん

社会医療法人 仁厚会 藤井政雄記念病院 神経内科部長・ヘルスケア センター長

工藤 美奈子(くどう・みなこ)さん

鳥取大学医学部卒。鳥取県立厚生病院を経て2007年より現職。鳥取県中部地区認知症サポート医。医療と介護の連携強化に取り組んでいる。

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黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

竹本 匡吾(たけもと・きょうご)さん

社会福祉法人地域でくらす会 いくのさん家 副代表

黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

森本外科脳神経外科医院デイケア勤務等を経て宅老所「いくのさん家」を開設。地域で暮らすための高齢者支援ネットワークを模索中。

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黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

吉野 立(よしの・りゅう)さん

認知症の人と家族の会 全国常任理事(国際交流委員長)、鳥取県支部代表世話人

黒川 博美(くろかわ・ひろみ)さん

妻と共に認知症の母を10年間介護の末、在宅で看取る。鳥取県認知症コールセンター長として家族の悩みや相談を受けている。

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